「英語は小さい頃に始めた方がいい」という誤解 やみくもに幼少期に始めても意味がない

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また子どもにとってネイティブ・スピーカーに、器用に何か話しかけるなどは難しいことです。むしろ耳にした英語を同じような場面で「模倣」して使えるといいでしょう。その点、物語に出てくる英語を耳にしてドラマ・メソッドなどで物語の登場人物になり、英語に気持ちをのせてセリフなどが言えると、子どもは達成感を感じられるのではないでしょうか。

英語習得のカギを握る主体的な態度

「主体性(主体的に学ぶ)」

母語は外界からの影響を受けて自然に身につけられます。「自然に」とは、「覚えよう! 話せるようになりたい!」などと思うことなく身につけることです。

外国語環境で英語を身につける場合はそうはいきませんが、言葉の習得に子どもの主体的な態度や姿勢は大いに効果があります。「海外に行ったときに英語を使ってみたい」「外国の人と話をしたい」といった動機をもって主体的に英語を学ぶことが、実は最も重要なことだと思います。

ただし、短時間で身につけられるものではないので、子どもが長期にわたって主体的に学べるようなプログラムが必要です。子どもは楽しく感じて、やりがいや達成感を感じることが長く学び続けられる秘訣。少し高い、ちょっと頑張れば超えられるハードルを個々の子どもに設定できるプログラムがいいでしょう。また共に学ぶ仲間も必要です。仲間がいると母語習得と同じように他者から学んだり、他者の言葉を模倣したりしながら言葉を身につけていけます。

これからの子どもが使用していくことになるのは、「世界英語」としての英語です。それはアメリカやイギリスだけをお手本にしていては理解することはできません。

それらの国以外、例えばインドやマレーシアなどでは、独特のアクセントや発音をもった英語が話されています。これからはそのような英語の多様性に柔軟に対応できなければ、「国際語としての英語」を身につけているとはいえないでしょう。

木原 竜平 ラボ教育センター 教育事業局長

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きはら りゅうへい / Ryuhei Kihara

1987年、筑波大学卒業、ラボ教育センター入社。東京、名古屋、大阪にて営業、指導者研修を担当。2002年より東京本社にて、外国語習得、言語発達、異文化理解教育について専門家を交えての研究に携わる。日本発達心理学会会員。日本子育て学会会員。ラボ・パーティは1966年「ことばがこどもの未来をつくる」をスローガンに発足し、2016年に50周年を迎えた子ども英語教育のパイオニア的存在。
 

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