人間は学習と経験によって成長する。しかし、本で読んだり、教師の授業を聴いたりする学習だけでは、成長に限界がある。それまでと異なる視点を獲得するには経験が必要だ。そして、大学生活の集大成が就活経験である。
学生が就活を通じて何を学んだのかを、アンケートから調べてみたい。使用データは、2019年卒業予定の大学生・大学院生を対象に行った「楽天みん就」との共同調査だ。設問は「就職活動を経て、企業の見方で変わったことがあれば、ご記入ください」というもの。456人の学生が回答している。
就活前は「求める人材は同じ」と誤解する人が多い
学生のコメントを読んでみると、就活を開始する前の「求められる人材観」が画一的であるように思える。「業界や企業ごとに求められている人材が全く違うことに驚いた」(文系・大阪大学)、「商社とメーカーで欲しい人材が違うのだと思う」(文系・青山学院大学)と書いているが、就活を始める前に気付いたほうがいいかもしれない。
もっとも勘違いするのも無理はない。各社の「求める人材像」の記述が抽象的だからだ。言葉も「積極性」「自律」「責任感」「挑戦」と画一的だ。そういう理想的な人材を企業が求めていると学生が考えてもおかしくない。
人事担当者を対象としたアンケートを読むと、理想人材を演じる学生に対して批判的、否定的な意見が多いが、学生をそういう行動に走らせる原因には、無難かつ無個性な採用キャッチフレーズにあるのかもしれない。
「企業が信用できない」「ウソが多い」と言う学生もかなり多い。かなりきつい口調でウソつき企業と批判している。
具体的な声をそのまま紹介しよう。「うそを言っている、もしくは誇張した表現を用いる企業があることに気づくようになった」(理系・鳥取大学)、「募集要項があてにならない」(理系・近畿大学)。
就活スケジュールのいい加減さ、無責任さをなじる声もあるが、その気持ちはよくわかる。就活生の中にはとんでもない勘違い学生もいるが、社会人が立派かというとそうではない。
「時間を守れない、約束を守れない、人の話を聞かないといった社会人に会うこともあった。このような方たちすら働いてお金をもらえているのだから、自分もお金を稼げると自信を持てるようになった」(文系・南山大学)
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