胃腸がラクに!「酒とつまみ」最高の組み合わせ 飲む人に教えたい「食前キャベツ」習慣

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

スルメやエイヒレはとても固いものですから、必然的に何度も繰り返して噛むことが要求されます。しかも噛めば噛むほど味が出ておいしくなるという特徴があります。スルメを噛むたびに、脳がどんどん若返っていくと考えてもいいでしょう。固いという意味では、ビーフジャーキーなども同じ効果があります。

マグロは“最幸”のつまみ

脳と腸は自律神経系や液性因子(ホルモンなど)を介してつながっています。腸や内臓で得た情報は神経を通じて大脳に伝わります。腸と脳は不安やうつ症状などの感情の変化を直接やり取りして、自律神経に働きかけてホルモンの分泌などを行い、生命活動を維持しています。

その生命活動において、精神状態をコントロールするホルモンが「セロトニン」です。セロトニンが不足すると、怒りやすくなるなど、感情のコントロールが不安定になります。うつ病の原因は腸内細菌にもあると私は考えており、とくに腸で生成されるセロトニンが大きく影響しています。腸内細菌のバランスが整っていないと、セロトニンは生成・分泌されません。セロトニンは脳に送られて多幸感を高め、集中力などをアップさせます。

セロトニンで幸福感が得やすくなる

セロトニンはタンパク質であるアミノ酸からできていて、ビタミンB6やナイアシン、葉酸などのビタミンを利用して分解・生成されます。つまり、セロトニンを不足させないためには、セロトニンのもとになる栄養素を摂取すればいいのです。都合のいいことに、タンパク質やビタミンB6、ナイアシン、葉酸などすべてを持った食べ物があります。それが、マグロの赤身です。マグロの赤身は、刺身、マグロのブツ、マグロの山かけなどとして居酒屋のメニューによくあるつまみです。

セロトニンは脳内に多く分泌されると、感受性が高くなり、幸せな気分を作り出します。マグロ以外の魚にもセロトニンのもとになる物質は含まれており、フィンランドで行われた調査では、週に2回以上魚を食べている人は希死念慮が低下し、自殺の可能性が減ることが確認されています。マグロは腸から幸せを運んでくれる、“最幸”のつまみといえるでしょう。

シメのラーメンは食べ方次第

お酒をいっぱい飲んだ後、どうしても気持ちが向いてしまうのは、「シメのラーメン」です。どこか空腹感があったり、気分的に「ここで終わり」という区切りをつけたくなったときに思い浮かびます。

まずそもそも、どうしてお酒を飲んだ後にラーメンを食べたくなるのか? それにはしっかりとした理由があります。お酒を飲んでいる間、肝臓は体内に入ってくるアルコールを分解しています。その際、肝臓は体内の糖分を消費しながら肝臓を働かせます。つまり、お酒を飲むほど糖分が失われていくのです。そこで血糖値が下がっていくため、空腹感が高まっていきます。

また、アルコールを100ミリリットル摂取すると120ミリリットルの水分が尿となって排出され、脱水症状になっていくのですが、尿と一緒に塩分も排出されるため、塩分不足にもなります。つまり、糖分、水分、塩分がすべて減少してしまうため、空腹感がつのり、食べ物や飲み物を求めるようになります。そんなときに、目の前にラーメン屋の看板があったら、心が揺らいでしまうのは実に当たり前のことです。

『病気にならない、太らない、若返る 「腸」が喜ぶお酒の飲み方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

しかし、ラーメンは塩分が多く、また背脂系が流行るように脂肪分がたっぷりと入っています。これをスープまで平らげてしまったら、それは太ってしまうのも当然です。そこで、ラーメンの糖質を分解しやすいように(腸が吸収しやすいように)、ビタミンB1を含んだ大豆のメニュー、例えば枝豆や冷や奴、納豆などの食材を、つまみとしてしっかり補充しておくのです。こうすることで、食後のラーメンも少しくらいなら食べることが可能になるのです。

いかがでしたでしょうか? せっかく飲むなら、少しでも体にいい飲み方をしたいですよね。そのために、味方につけるべきは「つまみ」。ぜひ賢いつまみの選び方をして、お酒とうまく“共生”しましょう。

藤田 紘一郎 東京医科歯科大学名誉教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ふじた こういちろう

1939年、旧満州に生まれる。東京医科歯科大学医学部を卒業し、東京大学大学院医学系研究科博士課程を修了。医学博士。アメリカ・テキサス大学にてリサーチフェローののち、金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学大学院教授を経て、現職。専門は寄生虫学と熱帯医学、感染免疫学。腸内細菌の研究の権威。1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞および国際文化栄誉賞を受賞。
2021年5月14日、藤田紘一郎さんは逝去されました。ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。『血液型と免疫力』(宝島社新書)は生前に執筆された著書です。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事