外国人は全員「呼び捨てOK」という怖い勘違い 敬語はないが、敬意を払う必要はある

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日本で使用されている「敬語」というものが英語にはないようですが、敬語に代わるコミュニケーションはどのようになされているのでしょうか?(写真:photomai/PIXTA)

「英語には敬語はない」

もしかすると皆さん学校でそう習っていませんか?

私は日本語マニアで、しかもどちらかというと文法マニアということもあって、敬語を習うのはむしろ楽しかったのですが、たいていの外国人にとって日本語の敬語習得はなかなかの苦行です。

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尊敬語、謙譲語、丁寧語……もう頭の回線がショートして煙が出てきそうになります。そこでついつい言ってしまいます。「英語には敬語なんてないんだ!」と。

確かに「私はあの人を知っている」が相手によって「あの方を存じ上げています」に変化するような用法は英語にはありません。その点で英語に敬語はない、というのは正しいと思います。

敬語はなくとも、態度に国境はない

しかしだからと言って、例えばあなたが営業マンで取引先の社長に対し初対面で「Hey Bill, what’s up!?」と言ったら、たぶんあなたは翌週には違う担当を言い渡されることでしょう。敬語はありませんが、相手に敬意を示すという考えは、おそらく人類普遍の概念として存在します。「態度に国境はない」ということです。

よく「言語は人間同士のコミュニケーションの10%でしかない」と言われます。確かに表情や仕草などから、人間は実に多くの情報を読み取ります。言語での表現がつたなくても相手に対する敬意や好意というものはかなりちゃんと伝わるので、まずは心を込めて話しかけることが大事ではないでしょうか。

同様に、日本語がわからないからといって、相手を前に日本人同士で失礼なことを話したりすると、内容はわからなくてもあまりいい話をしていないことくらいは相手にも伝わっています。これは海外からゲストを招いた際などに注意が必要です。

とはいえ、態度だけでは意思疎通はできません。まして文化的な背景がわからない言語圏でどう敬意を表すかというのは難しく、時として失敗してしまうこともあるでしょう。例えば英語圏のファーストネームで呼び合うフレンドリーなコミュニケーションに、どうやって敬意の念を込めたらいいのか、これは確かにちょっと難しいです。

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