日本企業の「ド慎重さ」が実は見直されている 「石橋をたたいて渡る」のは悪いことではない

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日本人の「石橋をたたいて渡る」姿勢は、外国人の目にどう映っているのでしょうか(写真:kikuo/PIXTA)

明けましておめでとうございます。デビットです。

先日山形大学のお招きで、大学生の前で講演をさせていただく機会がありました。さまざまな可能性のある若い人の目を見ていると、いろいろなことにチャレンジしてもらいたくなりますね。

私は彼らから見るとおじさんですから、つい、いろいろなアドバイスをしたくなります。おじさんのアドバイスといえば、そうです、ことわざですね。

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この連載を通じて伝えたいと思っていることの一つが、言語はあくまでコミュニケーションの一つの手段であって、言語以外のところで私たちは実に多くのギャップを抱えているということです。今回のテーマはことわざや慣用句からみる海外企業と日本企業のコミュニケーション文化の違いです。

ビジネスにおける「スピード違反」とは

私が好きなことわざ、というかフレーズに「More speeding ticket than parking ticket」直訳すると「駐車違反で捕まるよりも、スピード違反で捕まるほうがマシだ」という意味の言葉があります。海外で仕事をしていると、ときどき耳にするフレーズです。

「デビット、交通違反はなんだってよくないよ」

そんな声が聞こえてきそうですが、そこはたとえ話です。ビジネスにおいてスピード違反とは何でしょう。おそらくアイデアを次々と出して、無謀と言える大きなチャレンジをして、そして失敗することでしょう。

では駐車違反とは何でしょう。何もせずに現状に踏みとどまり、その結果ライバル会社に先行されてしまう、市場の変化についていけなくなってしまうことでしょう。新規に、何かに挑戦する企業にとってこの駐車違反は痛いですね。一方で「スピード違反」はある程度許されるべきではないでしょうか。

「石橋を叩いて渡る」、これもよく聞くことわざですが、慎重に安定したものを守っていくという考えがそこにあると思います。なんとなく、伝統的な日本企業のイメージと重なるところもあります。

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