韓国サムスンも陥った「偽ブランド」の巧妙な罠

世界では悪質な商標取得や粗悪コピーが横行

バンコクやクアラルンプールなども見て回ったが、東南アジア諸国でもこうした状況に大差はなく、ブランド企業が正しく商標を取得していても、市場で安い偽物が出回っていることで、ほとんど商売にはならない状況がある。もちろん公式品には公式品としての価値はあるが、街行く人々が着ているもの、持っているものに目をやると偽物と思われるものが大半で、むしろ本物を持っていても本物には見えないだろう。それこそ、こっちのほうが商標問題より深刻に見えてくる。

ソニーの粗悪品が堂々と通販サイトに

冷蔵庫や掃除機など模倣が難しい家電商品の偽物はさすがに見られないが、たとえば、東南アジアで人気のヘッドフォンメーカーにはアップルと並んで日本のソニーがある。ちまたではパッケージまでそっくりに作った偽物ソニー製品がかなり出回っている。見た目は似ていても、性能の差は大きく、偽物は音質が劣悪で、プラグの接続具合まで不安定だったりする。

一見、正規品に見えるソニー商品(筆者撮影)

こうしたものが治外法権的な露店で売られているうちはいいが、いまや東南アジア版のアマゾンともいえる通販サイト「LAZADA」などでも堂々と販売中なのである。商品型番で検索すれば、その価格相場は本物の10分の1ぐらいである商品がたくさん出てくる。こちらは衣類よりも購入者が本物と思って買った可能性も高まりそうだ。

そこで販売者のLAZADAに取材をしてみたところ、「違法商品は販売できない規約になっていて、販売業者は製造元の企業もしくは代理店などから仕入れているはずだ」との回答だった。しかし、商標を不当に取った企業のみならず、無数のパクリ業者が横行している中では、実質的に厳しく正規の商品を流出させているようには見えない。

実はいま、こうしたパクリ商品を「正規品」として日本に輸出する業者も増えている。例えばUSBメモリーやSDカードを販売するアメリカのサンディスクの関係者によると、「中国や東南アジアで類似名の現地企業が存在し、パッケージまでそっくりの偽物を堂々と製造、AMAZONや楽天など日本の通販サイトなどを通じて大量販売している」という。例えばバンコクには「SANDISK ASIA」なる業者があるが、これは本家とは無関係のパクリ業者である。

しかし、大量の同社商品を周辺国の企業に卸している。日本ではそうした品を日本の通販業者から手に入れた人が、「偽物ではないか」という報告を続々しているが、日本の販売業者や消費者の多くは性能の劣る商品に気づかないままだったりする。なにしろ大手サムスンですら騙されたほど、ブランドに関連した国際取引はまだまだ未成熟で、それは中国やアジアのみならず、イタリアやフランスでも見受けられる現象だ。商標整備と社会流通の双方がそろって正常化するにはかなりの時間がかかるだろう。

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