ヘッドハンターが惹かれる人材、NGな人材 武元康明サーチファーム・ジャパン社長に聞く

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武士道、騎士道精神が求められる

──ヘッドハンティングはそもそも米国で生まれた人材紹介手法。外資系のエグゼクティブサーチ会社が日本でも活躍していますが、その中で御社は日本型ヘッドハンティング手法にこだわっていますね。

やはり欧米とは、法的な枠組みや人材に対する価値観、考え方で違いが多い。欧米だと、人材は社会全体の共有財産となる。日本ではまだ珍しいが、ライバル企業間での人材異動が日常的に起こるのはこういった背景からだ。

対する日本の場合、人材は一企業の所有物という考え方が非常に根強くある。また、取締役や研究者の転職には「競業避止(転職先で前の会社の不利益になる行動を禁じる)」という、労働法での制限も日本には存在している。欧米型とは異なる日本流の道を深耕しなければ、当社の信頼醸成や事業拡大は難しい。

──最新技術を持ったエンジニアの人材紹介においては、自己規制している面もあるようですね。

これは、非常にセンシティブな問題。基本的には日本企業が、先端技術を持つエンジニアを、世界の中から探そうという場合は引き受ける。ところが逆に、海外企業が日本企業を対象に先端技術を持つエンジニアを紹介してほしいという依頼は基本的に受けない。国益に反するような事態になりかねないからで、日本社会の活性化と逆行するような人材紹介は断る姿勢を貫いている。

──40~50代向けのエグゼクティブサーチでは、どういった方が対象になるのですか。

少々際どい言葉になるかもしれませんが、武士道とか騎士道に通じるような精神、そういった心を持った方は非常に興味を引く。わかりやすく言えば、リスクをとれる覚悟のある人だ。

自分の専門分野、専門性を生かすことももちろん大事だが、経営側になると、より全般を見なくてはいけない。今まで築いてきたスキル、キャリア以上に、新たな領域への対応力や柔軟性が重要となる。

──逆に対象外のタイプは。

成功体験にしがみついたり、前職の会社のやり方を新天地に移っても唱えたりといった方がいるが、そういう方はNG。つまり、自らリセットボタンを押せる人かどうかが、非常に重要だ。

人をいかに育てていくか、働きやすい環境をいかに構築するかということを、自身が一歩引いたところで作っていける姿勢を持てるかどうかが大事なのだと思う。

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