(司会・構成:佐々木紀彦)
【対談(その2)はこちら】
――第2回目の対談では、バングラデシュ、石巻で活躍する若者の中から、新しい向上心の形が生まれているという話になりました。活きのいい人ほど、既存の組織から飛び出してしまうのは、なぜでしょうか。今の組織の中では、人は成長できないのでしょうか。
藤原:私の感覚では、会社が人を育てなくなっているんですよ。渡邉さん、そう思わない?
渡邉:そうですね。それは間違いない。
藤原:今の会社は、アウトソースをしすぎているし、ムダをそぎ落として余計なことをしなくなっている。「ムダをやらない」「失敗もさせない」では、人が育つわけがないですよ。
だから私は、会社組織にいる人よりも、石巻やバングラデシュにいるような、既存の枠組みから滲み出ている奴ら、「滲み出し組」に期待しているの。
前回、バングラデシュで活躍している税所篤快を紹介したでしょ。彼に対して、世の中の大人はみな余計なアドバイスをするんだ。「日本に戻ってきて、足立区の区長に立候補しなさい」とか(笑)。
でも私は、「それは絶対ダメ。日本の中枢からはなるべく遠ざかれ。それよりも、とにかく10年以内に、お前が20代のうちに『ニューズウィーク』や『ビジネスウィーク』の表紙を飾れ。そしたら、俺はびっくりしてあげましょう。『週刊東洋経済』や『日経ビジネス』に載って満足してるようじゃダメ!」と言ってるの。
渡邉:でも、そういう「滲み出し組」が、社会の主流になることはありえないですよね。一定の数には増えるとしても、あくまで社会の中では例外でしょう。「滲み出し組」が日本の雇用を支えていくという感じにはならないですよね。
藤原:確かに、主要産業にはならないですよね。だから、世界で戦える一部の企業に、圧倒的な利益を稼ぎ出してもらわないといけない。つまり、ユニクロや楽天が国際化して、いったいどこまでいけるのか、という話じゃないの。