女性にとっての、ホワイト企業とは何か? 「ゆるキャリ」を容認するのが、いい会社か

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――企業経営者は、すでに女性をはじめとする多様な人材を、有効に活用することが欠かせない経営戦略だと認識している、と。

ええ。よく商品やサービスの買い手の半分は女性だから、女性社員が商品開発しないと、女性向けの商品は作れないと言いますが、それだけではありません。この市場変化の激しい時代。意思決定ボード(取締役)に多様な人材が入っていないと、その変化に対応できないというコーポレートガバナンスの問題でもあります。

また、よく企業の採用担当者が、優秀さだけを追求すると、女性のほうが多くなってしまうというように、どの企業も女子学生が優れていることに気づいています。 その優秀な女子学生たちは、企業を選ぶうえで、ワークライフバランス(WLB)を重視します。ひるがえって、WLBやダイバーシティを真剣に考えない企業は、優秀な女性社員が採れないということになります。

組織としての”感度”は高いか?

――しかし、「ウチは新卒一括採用でイキのいい優秀な男がいっぱい採れますから、困っていません。無理して女性を活用する必要を感じていません」という企業もありますよね。それに、これまでの日本企業は、同質的な人材が一丸となることで、ある意味、ダイバーシティをしないことで成功してきたともいえます。そんな日本企業が、急に変われるでしょうか?

確かに、日本企業は均質な「会社人間」が一丸となることで成果を出してきた側面もありました。しかし、そのパターンで成功したのは高度経済成長期の話。当時は、日本はキャッチアップする立場にありましたから、特にイノベーションを起こさなくても、欧米が先に開発したものをまねすればよかった。

また、消費者も「3種の神器」など皆が決まったモノを欲しがっていた時代ですから、大量生産で一気にモノ作りする同質集団の強みが生きました。

ところが、今の市場はそんなに単純ではありません。グローバル化に伴い市場ニーズはますます多様化する一方で、成熟した国内市場にも眠ったニーズが埋もれている。それらを、他社に先駆けて掘り起こすには、多様な人材により、組織としての“感度”を高める必要があります。はたして、残業ばかりしている会社人間が集まって、消費者の眠れるニーズを掘り起こすことができるでしょうか? 

新しい発想やアイデアを持った人間、たとえば女性が商品開発の場にも、企業経営の場にも求められるのは、必然だと思います。それに、安倍晋三首相は今年4月、「アベノミクス」第3の矢の成長戦略として、「ウーマノミクス」すなわち、女性の活躍を推進する方針を打ち出しました。こうした姿勢は海外からも高く評価されており、もはや、この流れに逆らうことは難しいだろうと思います。

もっとも経産省は、ダイバーシティは日本企業がグローバル競争の中で生き残るうえで、やらざるをえない経営戦略だと啓発する一方で、全社一律に女性活用を強制するようなことは考えていないのです。ダイバーシティ経営に取り組むかどうかは個々の企業の経営判断ですから、厳しいことを言うようですが、それができない企業は、中長期的には、自然に市場で淘汰されると思っていますので……。

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