「量産型」会社員はもっと自分を認めていい ひたすら「次の山」を登り続けるのが人生か

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数年来の悲願だったポジションについた途端、次にどこへ進めばよいかわからなくなってしまったら……(写真:metamorworks/PIXTA)  
女性の育児や仕事など、女性の問題ばかりが取り上げられるこのご時世。しかし、男だって「男ならでは」の問題を抱えて生きづらさを感じています。男が悩むのは“女々しい”!? そんなことはありません。男性学研究の精鋭、田中俊之先生がお答えします。

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■今回の相談
44歳男性会社員です。知人に「ついに成仏しましたね」といわれ、困惑しています。
昨年、数年来の悲願だったポジションにつくことができました。ただ、そこで言われたのが冒頭の一言です。「長年の悲願がかなって、次はどうするの」とも言われ、何も答えられませんでした。現場のトップとしての今のポジションであり、この先、取締役、社長と目指すというのも、違う職種のようでイメージが湧きません。
1つの山の頂上(といっても高尾山とか筑波山くらいですが)にたどりつき、次は山脈を制覇するのか、まったく別の山を目指すのか、もっと大きな山を目指すのか、何も描けないのです。
山を降りるイメージはなく、平地(どこかはわかりませんが)に降りるのも考えられず、次の方向性を見失っています。現実的には当面は目の前の仕事で精一杯で、先を考える余裕はないのですが、とはいえ、まったく何もないというのもどうかと思います。登る以外の人生をどう描けばいいものでしょうか。

似たり寄ったり…?

まずは落ち着いてください。

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1990年から2014年までの25年間で、日本における衣料の供給量は2倍になりました。2000年前後に起きたユニクロのフリースブームが象徴するように、ファストファッションの登場によって、服の値段が著しく安くなったことが影響しています。

安く売るぶん、お客には何度も買ってもらう必要があります。流行はサイズ感1つとってもキツキツ、あるいは、ダボダボといった具体で極端になり、サイクルも短くなっているように感じます。そうして流行にはバリエーションの豊かさがなくなり、若者のファッションは「量産型」と揶揄されるように、似たり寄ったりになってしまうのです。

くだらないなと思われるかもしれませんが、「男社会」である企業の中で、定年退職までひたすら働くというレールの上を進んでいく男性の姿も、客観的に見れば「量産型」ではないでしょうか。

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