ムーギー:スウェーデンというと、日本では福祉先進国で政治がしっかりしている、というイメージなのだが、スウェーデンの政治状況はどんな感じか。
ヨハン:ノルウェー、フィンランド、デンマークといった北欧諸国に共通しているのだが、われわれの国では政治がクリーンだ。汚職がなく、国民の政治に対する信頼が高い。われわれは社会民主主義であり、また土地が広い割に人口が少なく、これらの国は人口密度が低いので、お互いの競争というのがあまり厳しくない。
われわれは協調性があるし、コンセンサスを重視する。これは外国人にとっては時にイライラする原因になるかもしれないが、われわれは公平だ。われわれの国のいいところは、すべて公平だということだ。
共産主義に近いスウェーデン?
ヨハン:スウェーデン人はコンセンサスを重視し時間がかかるのだが、あまりイライラしてはいけない、と外国の友達には言っている。スウェーデンはどちらかといえば共産主義に近い国だ。非常に赤い(笑)。
事実、1970年代に共産主義みたいなシステム(労働者に会社のオーナーシップを分譲)を採用しようとしたこともある。ただそんなことをしていたので、イケアが国を去ってしまった。その頃から福祉システムが徐々に発達してきた。なお、高いことで有名な税金は政府が徐々に下げようとしており、だいたい32%くらいで、最高税率は55%だ。
スウェーデンの教育の質は落ちてきている
ムーギー:そのやたらと発達している、社会福祉システムについて教えてくれないか。
ヨハン:まず教育はごく一部のプライベートスクールを除いて無料だし、医療も無料だ。ただし、スウェーデンの教育上の強みは落ちてきている。教師の質や給料が落ちていて、今や最も尊敬される仕事ではなくなってしまった。
今、フィンランドは世界学力ランキングとかでもトップクラスなのだが、これは、昔はデンマークみたいなやり方をしていたフィンランドが、以前のよかった頃のスウェーデンを参考にしている。フィンランドでは教師は普通の仕事に比べて高い給料を得ていて、優秀な人材も集まるし社会的にも尊敬されている。
これに対し、スウェーデンは間違った教育改革で教育水準の低い教師が大量に増えてしまった。教育改革って、下手にいじって失敗することが多いので、気をつけたほうがいい。
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