なぜMBAの授業は、胸に刺さるのか? 『世界最高MBAの授業』はいかに読まれたか

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MBAを目指さない人こそ

留学生の人生を変える姿に影響を受けたのは、MBAに縁の深い人たちだけではない。ほかにも、授業が「人生を変える」という部分が、心に響いたという意見を頂戴した。

ペンシルバニア大学ウォートンスクール(写真はサンフランシスコ校)

「ウォートンの浅原大輔さんの卒業生代表スピーチは名言だと思いました。浅原さんは教授ではありませんが、教授の言葉みたいでした。実際に人生を変えるには、そうするしかないと思いましたし、この本の中でいちばん印象に残った言葉でした」(30代、女性、会社員)。

浅原さんの名言は、ほかにも感想をいただいたので、ここに引用する。

「自分の行動を変えれば、周りからの評価も変わる。周りからの評価が変われば、自分の自信になる。自信がつけば人生が変わる。これが、僕がウォートンで学んだ教訓です」

浅原さんは、ウォートン卒業後、ゲームやモバイルアプリを開発するベンチャー企業HEROZ株式会社のCFOとして活躍している。ゴールドマン・サックスのバンカーからの転身だが、そのきっかけとなったのは、ウォートンへの留学だった。

最後に30代の主婦の方からいただいた感想をご紹介したい。

「今まで、リーダーシップは、組織の中で上に立つ人、管理職や企業の社長だけのものだと思っていましたが、どんな立場であっても、自分自身がそれぞれ置かれている場所でリーダーシップを持ち、発揮することができるのではないかと思うようになりました。今の、グローバルな教育はどうなっているのか、どんなことが教えられ、求められているのか。むしろMBAを目指さない人にこそ、必要なのではないでしょうか」

MBAの授業が心に刺さるのは、それぞれの人生や生き方について、世界最高の教授たちがひとつの指針を与えてくれるからかもしれない。

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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