〈トップスクールと言っても、MBAの授業の科目は、戦略、会計、マーケティング、統計学、経済学、オペレーションなどどの学校でも似ていることが多いです。その中で本書は、実際のトップスクールの学生の声をもとに、具体的な特徴を明らかにしている点が珍しいと思いました。
たとえばミシガン大学ロスビジネススクールは、MAP(Multidisciplinary Action Projects)というコンサルティングプロジェクトを授業の一貫として行うことで有名な学校ですが、本書では別の視点で、ミシガン大学の授業がいかにアジアのビジネスに取り組むうえで優れているかという点を焦点に書かれています〉
伊藤さんは、卒業生の西川美優さんが学んだリーダーシップについても感銘を受けたという。
〈「周りにいる従業員や地域の人々を幸せにできるリーダーシップ」というところに、とても共感しました。僕自身は、「自分たちの事業にかかわる人たち、自分たちの商品を手にした人たちが心の底から感動するようなリーダーシップ」を目指したいと思うようになりました〉
改めてリーダーシップとは、何か?
ミシガン大学ロスビジネススクールを2013年に卒業した山下徹さんは、留学生の方々が倫理学やリーダーシップの授業で人生観が変わっていく様子が興味深かったという。
〈授業やケースで、「リーダーとしてつねに誠実でいること」「リーダー自らが規範を体現すること」など、一つひとつの言葉に腹落ちしたからこそ、人生観が変わるきっかけになったのだと感じます。だからこそ、MBA留学生の方々は、卒業後もこのようなリーダーの根本精神ともいえることを大切にしつつ、新しいことにチャレンジできるのだと感じました。卒業後に実際に起業されている方がいることも知り、たいへん刺激になりました〉
一橋大学大学院国際企業戦略研究科で2010年にMBAを取得した坂上誠さんは、ハーバードビジネススクールの呉文翔さんの行動力に影響を受けた。呉さんは、ハーバードの授業の一貫で、同級生らとともに東北の被災地の復興を取材し、ハーバードの教材を作成した。
〈呉さんが自分の夢を確認し、東北の被災地の今を伝えるべく、ハーバードの学生と東北を訪問し、ケースを書くというアクションを起こしたところにとても感動しました。そして、「いずれは(ハーバードの教授のように)日本のビジネスについて、後進に伝えていきたいと強く思いました」という言葉も印象的でした〉
MBAホルダーにとって、同世代のMBAの活躍は、自分がリーダーとして日本の未来のためにアクションを起こすきっかけともなる。
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