日本人がハッとする、「オープン・イノベーション」
具体的に興味を持った授業では、カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールのケース(本では第11章)を上げる読者の方が多かった。
「クローズド・イノベーションの権化のようなマスコミ業界で働いている身としては、痛いところを突かれたと同時に、何かのヒントを見つけたような気がしました」(40代男性、会社員)。
この章では、ヘンリー・チェスブロウ教授の「オープン・イノベーション概論」という授業を紹介している。
オープン・イノベーションとは、従来のクローズド・イノベーション(権利、特許を囲い込むことで儲けるビジネスモデル)とは真逆の概念で、社内で開発した技術や知的財産を社外に開放することで、市場を拡大し、利益を得ましょうという考え方だ。
本書では、グーグルのオープン・イノベーションを扱った回を中心に、この概念を紹介している。
ほかにも、ビジネスパーソンの方々には、「イノベーション」にかかわる授業に興味を持っていただいた。
ダートマス大学タックビジネススクール(第9章)の、リバース・イノベーションという概念を紹介した授業については、メーカーの方から多くの感想をいただいた。
リバース・イノベーションとは、新興国で見つけられた解決策やビジネスアイデアが、先進国などに逆流し、世界全体を変革していく取り組みで、多くのグローバル企業で実践されている最先端のイノベーションだ。
「メーカー勤務ですが、リバース・イノベーションという取り組みがあることさえ知りませんでした。GEの成功例は参考にはなりますが、実際、自分の働いている日本企業で実践できるかどうか、深く考えてしまいました」(50代男性、会社員)。
「リバース・イノベーションの概念を知りませんでした。日本企業でも知らない人が多いのではないでしょうか。私にとっては目からウロコでした。関連書籍を読んでみたいと思います」(40代男性、記者)。
日本企業のグローバル化には「イノベーション」が必要だ、とはよく言われるが、実際、それが何を意味するのか、自分たちは何をやればいいのか、具体的に理解している人は意外に少ない。本書で紹介した最新のイノベーション理論が、少しでもイノベーションを実践するうえで参考になったとすると、うれしいかぎりだ。
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