今から思えば、2005年はプロ野球史上、画期的な年だったといえよう。
2004年の球界再編でオリックスと近鉄が合併し、楽天が新規参入。その余波で、この年から交流戦がスタートした。
さらにダイエー・ホークスが親会社の経営難によってソフトバンクに譲渡された。こうした一連の出来事によって、その後の球界地図は大きく変貌した。
それらに比べれば、注目度は小さかったが、2005年に独立リーグもスタートした。元西武ライオンズ(当時)の石毛宏典氏が主導し、四国アイランドリーグが開幕したのだ。
「プロ野球ごっこ」からのスタート
筆者は設立の年から球場に足を運び、試合を観戦してきた。また設立当初からスタッフにも話を聞いてきた。
率直に言って、生まれたばかりの独立リーグは「プロ野球ごっこ」のようだった。このままでは厳しいと思ったし、事実、当初の経営陣の多くは姿を消した。ここからスタートして14年後の今も、独立リーグが存続し、ペナントレースを続けているのは、奇跡に近いのではないかと思う。
昨秋、筆者は四国アイランドリーグplus、ルートインBCリーグ、さらに関西独立リーグ(ベースボールファーストリーグから改称)の球団経営者に話を聞き、日本の独立リーグが10年余の歳月を経てまったく異なるビジネスモデルに変貌したことを強く実感した。
独立リーグで奮闘する6人の経営者に焦点を当て、今回は前編と後編に分けた記事の前編をお届けする。
四国アイランドリーグplus、香川オリーブガイナーズの三野環社長は、2017年3月、球団経営陣の交代とともに社長に就任した。
前職は保険関係の営業職、スポーツビジネスの経験は皆無だったが、新オーナーに、”野球界には女性社長はいない。新しい風を吹き込みたい”と説得されて就任した。以来2シーズンが経過した。
「昨年、チームは総合優勝しました。6年ぶりの優勝でした。しかし、チームが強くてもNPBと異なり経営がそれほど良くなるわけではありません。観客動員は天候不順もあって、伸び悩みました」
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