「密告奨励」に戦々恐々とする、中国社会 一段と左傾化する習近平政権の行きつく先は?

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事実上、密告を奨励する社会に

前号に白色恐怖の話を書いたが、中国のエリートや官僚の多くは、接待・会食・飲み会で身体を壊すまで浪費を続けている。今年(2013年)になって習近平政権は箍の外れたバブル漬けの社会環境を改善するために、まず贅沢な宴会を自粛させるように指導している。前にも書いたが、その結果、全国規模で贅沢な宴会が激減、なんと高級酒である白酒(バイチュウ)の販売価格が半値になったという。

こうした指導を行う習近平人気はなかなかのものだ。胡錦濤政権ではGDP競争に明け暮れ、汚職が蔓延していたが、習政権になってからは倹約と汚職撲滅に力をいれているからだ。重慶の薄 熙来(はく きらい)市長の失脚以来、毎月のように大物の汚職の摘発が続いている。

以下のような話は日常茶飯事だ。上海の司法の幹部たち数人でカラオケに行った。プライベートなので私服で行ったのだが、カラオケ屋の店員がビデオで女性が出入りするのを隠し撮りして、インターネットに載せた。政府がすぐに調査に乗り出したところ、大きな問題が露見、即刻裁判官たちはクビになった。

また、テレビのインタビューに出ていたある高級官僚は、うっかり200万円以上もするローレックスの高級時計を身に着けていた。それを目ざとく見つけた視聴者からのネット投稿でその幹部の行動を調査したら、やはりクロとなり、懲戒免職となった。中国では賄賂は一種の習慣だ。誰だって叩けば埃が出てくる。従って、高級官僚たちは戦々恐々としている。

これは、軍関係者も決して例外ではない。また私の知っているレアアースを管理していた発展改革委員会のトップも、すでに2年前に退職たにもかかわらず過去の汚職で逮捕された。親類や子供に金が渡っていたことを告発されたのだった。今や中国では「官僚ほど危険な職業はない」などの自嘲的なジョークが流行っているくらいだ。

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