アメリカを沈ませかねない5つの深刻な危機 株式相場の乱高下は何を意味するか
4つ目の危機は、ジェームズ・マティス国防長官の辞任である。同氏の辞任は長らく噂されていたが、それでも衝撃だった。説得力のある辞任書簡の中でマティス氏は、トランプ大統領の新孤立主義やNATO(北大西洋条約機構)をはじめとするアメリカの国際的安全保障同盟をむしばむ行為を挙げ、トランプ大統領との政策の相違による辞任であることを明確にした。
日本や韓国にも影響が及びかねない
北朝鮮との交渉をまとめるなど北東アジアで長い経験をもつ元国務省高官エヴァンス・リヴィア氏は、この決断がアジアにとってどのような意味をもつのかをこう説明する。
「今アメリカで起きていることは、日本にも韓国にも深く不穏な関連がある。トランプ大統領は、トルコの脅威に直面するシリアや、最終的にはアフガニスタンにおいてもアメリカ軍の駐留を解く決断をしたことによって、またイラクでのアメリカ軍部隊に対する驚くほどあからさまなコメントによって、こう宣言したに等しい。
『世界の紛争地域におけるアメリカの力強く能動的で主導的な役割は、地域や世界の平和と安定を守るのに不可欠だとの信念をアメリカがもっていた時代は終わったのだ』と」
「トランプ大統領はかなり前に、公益の促進と、自らの重要な利益であるとみなしていた自由主義的秩序の保護を目的とし、アメリカが重要な防衛負担を担っていた絡み合う同盟関係や協調関係を侮辱した。現在トランプ大統領は、国際的なリーダーという立場を終わりにしようとの具体的な行動を起こし始めている。トランプ氏がアメリカ大統領としてい続ける、ということになれば日本や韓国などの同盟国は代替の自己防衛政策を模索し始めてもいいだろう」
現在、アメリカ経済や外交政策の懸念の根本にあるのは、非常に有能であるだけでなく大統領の衝動的行動の抑止にもなると見られていた高官たちの退任だ。
ジョン・ケリー首席補佐官とマティス国防長官の退任は、国内外の安全保障政策をマイク・ポンペオ国務長官とジョン・ボルトン国家安全保障問題担当補佐官の手に委ねることになるが、両者ともトランプ大統領の決断に挑もうとはしないか、もしくはできないように見える。
評論家たちは現在「Bチーム」の人員で構成された政権について語る。下位レベル、もしくは共和党内においてすら信頼を得られていないような面々だ。
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