アメリカを沈ませかねない5つの深刻な危機 株式相場の乱高下は何を意味するか

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「今や、良識によってではなく、直感や衝動で統治したいとするトランプ大統領の欲求を抑制できる者はいないと言える」とリヴィア氏は言う。「マティス氏の突然の退任は、最も安定した人物を政権から排除したことになる」。

トランプ大統領はしだいに自身の狭い政治的目標を、とりわけ自身の生き残りを、軍に、情報機関に、そして政府の法執行組織に吹き込もうとしており、それらの職務の高潔さを損なっている。

ベテランジャーナリストが抱く懸念

「トランプ大統領のイラクやドイツの部隊への訪問についても非常に憂慮している」と、前述の情報機関高官は話す。「トランプ大統領による政治的動機に基づくウソが続き、部隊などの訪問も政治的な意図があった。司法省や連邦捜査局(FBI)といったほかの機密性の高い機関は激しいプレッシャーにさらされ続けている。今後、情報機関、軍、法執行などの機関の政治色が強くなれば、つまり“独裁者”の個人的地盤となるのであれば、こうした組織が信頼を取り戻すには何十年もかかるだろう」

このすべてが5つ目の危機につながっている。トランプ氏の大統領としての法的地位の危機だ。トランプ大統領の選挙運動スタッフ、家族、取り巻きたちに及んでいる捜査は日に日にきつくなっている。まもなくロバート・モラー特別検察官が、ロシアによる大統領選介入計画への共謀、およびその他の犯罪についての捜査の最終報告をする。

「トランプ大統領に対する弾劾手続きは現在避けられなくなっていると思われる」とベテランジャーナリストのエリザベス・ドリュー氏は、12月27日にニューヨーク・タイムズ紙に書いた。「大統領が辞任しなければ、来年、弾劾手続きを始めよという、民主党指導者に対する大衆の圧力は増すばかりだろう」。

ドリュー氏は、リチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件の捜査を報道した人物だが、今回も議会でトランプ大統領が共和党員たちからも見捨てられる可能性が高いことなど、状況が似通っていると見る。

「私はつねに、主だった共和党員たちは、最終的にトランプ氏は党にとってお荷物になりすぎ、国家にとって危険になりすぎたと結論づけることになるだろうと見ていた」とドリュー氏は書いている。「その時が来たのかもしれない。結局のところ、共和党員たちは自分たちの政治生命の存続を選ぶことになるだろう」。

これがどこへと向かうかは誰にもわからない。しかし確かに言えるのは、2019年はひとつの危機的な波であり、そのいくつかは安定した日本の海岸へもいや応なく打ち寄せるだろうということだ。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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