独断!2019年に注目したい「ゆく町、くる町」 あなたの住む町は入っている?

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藤沢市

無関心な人ばかりの町と、関わろうとする人が多い町。どちらが住んで楽しいかといえば後者である。その点で注目しているのが藤沢市だ。複数の、ほかにない活動を続けている人たちがいるのだ。たとえば2018年に開始から20年目の「ふじさわこどもまちづくり会議」。

小学生を対象にした2日間のワークショップで、町を歩き、地域の課題を話し合い、将来の町を模型化するというもの。1995年の阪神・淡路大震災を機に建築家に何ができるかを考えた結果、生まれた活動で、住む人が地域に愛着を持つことで町を良くし、強くしていくとしたら、子どもたちを変えていくことが長期的には町に寄与するという考えだ。 

ほかの町にないものを生み出す力

毎回40~50人が参加、中には小学校の6年間続けて参加する子もおり、延べ900人近くが町を考えてきた。先行するワークショップを参考に始めたそうだが、そちらは早々に開かれなくなり、藤沢では地道に続けられている。その違いが実行委員会代表を務める建築家・三原栄一氏をはじめとする関係者の町に対する強い思い、底力ということだろう。

あるいは鵠沼海岸にできた映画も流れる貸本屋「シネコヤ」だ。商店街の空き写真スタジオを改装した空間を利用。パン屋やカフェがあり、映画も流れているというほかにない不思議な形態の店舗で、資金集めのクラウドファンディングでは地元からの応援が多かった、と経営する竹中翔子氏は言う。近所にほかにない文化や芸術に親しめる場があることは住んでいる人には自慢であり、町への愛着につながる。

パン屋やカフェも併設する貸本屋「シネコヤ」(筆者撮影)

地域の差別化は自然や歴史によるものが多いが、それ以外にほかの町にないものを生み出し、成り立たせられる町はそうそうあるものではない。

藤沢市にはこれ以外にもいずれ紹介したい福祉の先進事例が集まっており、注視し続けたい町のひとつだ。

淵野辺

JR横浜線淵野辺駅と聞いて、それがどこかがわかる人は少ないだろう。だが、このところ、この町に住みたいという学生が急増している。理由は地元にある不動産会社・東郊住宅社が2015年12月から始めた入居者専用食堂「トーコーキッチン」。朝100円、昼、夜それぞれ500円という低額ながら、レトルトは使わずに手作りするヘルシーな食事が年始年末を除いて年中無休で食べられるのである。

安さ、味に加え、もうひとつの魅力は日に2度、3度と顔を出す同社の2代目・池田峰氏。初めての東京暮らしに不安を感じる学生や疲れた顔の学生に声をかけては笑顔にしていく。

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