独断!2019年に注目したい「ゆく町、くる町」 あなたの住む町は入っている?

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蒲田

もう1カ所、京急線で変化しそうな町を紹介したい。蒲田駅周辺である。このエリアには数年ほど前から「ものづくりの町」という歴史を持つ蒲田に制作環境と町工場との協働機会を生み出す活動を続けてきた「@カマタ」というグループがある。

2014年のオフィス、工房兼ショップ、SOHOなどからなる複合施設「カマタ_クーチ」に始まり、築古マンションを改修した工房・シェアオフィス付き集合住宅「カマタ_ブリッヂ」、羽田空港近くの古倉庫再利用の期間限定のポップアップイベントスペース「カマタ_ソーコ」を手がけてきた@カマタが今、京急と一緒に取り組んでいるのは高架下だ。

工房兼ショップ、SOHOなどからなる複合施設「カマタ_クーチ」(筆者撮影)

2017年に京急蒲田駅付近連続立体交差事業が完了。それによって生まれた高架下のうち、京急大森町―梅屋敷間の約2283㎡に2棟の飲食店、シェアオフィス、デジタル工房、スタジオの4棟、2棟の町工場の計8棟からなるものづくり複合施設を、2019年春をメドに整備する計画で、詳細については2018年7月以降、複数回のラウンドテーブルなどで広く意見を集約・整備していくという。

少し危惧のある町は…

面白いのは@カマタでは拠点や機材、人、ノウハウをメンバーで共同管理し、蒲田の町全体をひとつのシェアオフィスに見立てている点だ。それによりクリエーター間だけではなく、地元の町工場との連携も生まれ始めている。

大田区の町工場は1社ごとに独自の高い技術を持っているのが特徴。それがほかのこれまでと違うクリエーターなどとコラボし始めれば、面白いものが生まれてくるのではなかろうか。かつては1万社以上、今でも3000社以上の町工場が集まる、東京屈指のものづくりの町、大田区が蒲田から新しい動きが始まることに期待である。

ここまで2カ所、京急の期待できる町を取り上げたが、1カ所、危惧のある町にも触れておきたい。北品川から青物横丁にかけての旧東海道沿い、品川宿と呼ばれるエリアだ。30年もの歳月をかけ街道沿いを修景、散策の人が訪れるようになってきたエリアだが、そこを分断するような開発計画がある。

品川周辺の再開発の余波だが、近代的な再開発で生まれた町は隣に古い歴史的な町があることが強みになる。森ビルは六本木ヒルズと麻布十番、虎ノ門ヒルズと新橋をそのように捉え、共存を武器と考えているが、品川開発に当たっている人たちにはそうした多様性を受け入れる素地はないのか、疑問に思う。

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