日本の交通社会に対する課題は数多い。なかでも喫緊の課題としてとらえられているもののひとつに高齢化対策がある。日本は超高齢社会となって久しく、各方面で影響が出始めていることは周知の事実だ。
2018年9月13日に警察庁より発表されたデータによると、2018年上半期(1~6月)における交通事故死者数は1603人と、前年上期比4.3%減となった。人口10万人当たりの死者数は全年齢層で30%、高齢者で35%それぞれ減少しているものの、高齢者の人口10万人当たり死者数は全年齢層の約2倍に及ぶ。さらに、75歳以上、80歳以上の高齢運転者による死亡事故をみると、発生件数そのものは過去10年間で横ばい傾向であるものの、2018年上半期は前年同期と比較して増加傾向にあることがわかる。
次に、高齢者の交通事故形態ではペダル踏み間違い事故の割合が高い。高齢者、特に75歳以上の運転者では駐車場内などでの運転中に起きやすい傾向がある。「75歳以上の高齢運転者では他の年齢層の2~5倍」(交通事故総合分析センターの報告書並びにイタルダインフォメーションより抜粋)にのぼるという。もちろん、運転操作に自信のある方や若年ドライバーであっても過信は禁物。慌ててペダル踏み間違い事故を起こす可能性は十分にある。
ただ、高齢者の運転免許保有者が多いこともあり、こうした事故統計データでは高齢運転者のケースが目立つ。平成29年交通安全白書によると「75歳以上の免許保有者数は約513万人(75歳以上の人口の約3人に1人) で、平成27年末に比べ約35万人(7.3%)増加しており、今後も増加することが見込まれる」という。
ブレーキペダルを踏むはずだったのに…
ペダル踏み間違い事故とは、ブレーキペダルを踏むべき状況のときに誤ってアクセルペダルを踏んでしまい誤発進や意図しない加速をすることだ。発生確率はシフト操作を伴う駐車場などでの発進時に多く、事故直前の危険認知速度は発生した事故の70%以上が20km/h以下と低いことが特徴となる(対象は全年齢層)。
さらに75歳以上の運転者における発生傾向を見ると、後退(Rレンジでの走行)時の発生確率が24歳以下の運転者と比べて約4.6倍、45~54歳との比較では約7倍と高く、同様に道路以外の場所(例/駐車場)での発生確率も24歳以下の運転者と比べて約4.8倍、45~54歳との比較では約5.4倍といずれも高い(交通事故総合分析センター)。
こうした背景を受けトヨタ自動車は2018年12月5日、販売店装着の純正用品(3年/6万kmのメーカー保証付)として、ペダル踏み間違い時に発生するクルマの加速を抑制する後付け機能「踏み間違い加速抑制システム」を発売した。装着対象車は、これまでトヨタが販売した3代目プリウス(2009年5月18日~2015年12月8日に販売されたモデルで一部車種を除く)と、アクア(2011年12月26日~2018年4月2日に販売されたモデルで一部車種を除く)の2車種だ。
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