恐竜はヒトの800倍超の1億6000万年栄えた

ほんの少しだけど「大人のための恐竜入門」

学説のトレンドは、冷血説に始まり、次第に全温血説に向かっている。ただ、MRCAに羽毛があったとしても、全身を覆ったかは不明である。鳥類も脚には羽毛がない。さらに一部の恐竜は、ウロコを持っていた化石証拠がある。羽毛がないか、あっても体の一部のみという恐竜もいただろう。現時点では、恐竜の一部のみ温血との説を見ることが多い。

さて現生恐竜すなわち鳥類は、子育てを行う。恐竜にも子育てがあったことを発見したのは、ジャック・ホーナーである。ホーナーは映画ジュラシックパークの主人公のモデルとなった著名な恐竜学者で、最近は、ニワトリに眠る祖先の遺伝子を呼び覚まし、恐竜を再生するプロジェクトを手掛けている(Ted参照)。

ホーナーは、孵化後しばらく経った幼体がまとまって巣にいる化石を発見した。その恐竜はマイアサウラ、珍しく女性名である。ただ、雌雄どちらがより子育てに貢献したかは、不明である。

恐竜は子に給餌をしたか。現生ワニの一部は、子を口の中で保護し移動させるが、給餌まではしない。実質すべての鳥が雛に給餌するのは、種の存続上極めて有効だからで、恐竜がもし給餌本能をいったん獲得していたら、それを失う可能性は低い。育児種が競合他種を駆逐したことも考えられる。

哺乳類については、先述の4点セットに哺乳を加え、5点を共通形質と言って差し支えない。では同様に、給餌をすべての恐竜に共通の特性と位置づけられるか。おそらく行きすぎだろうが、可能性なしとはしない。

頑健なハンター「ティラノサウルス」

さて、話は尽きないのだが、数ある肉食恐竜の中で際立った、ティラノサウルスを少し論じたい。

ティラノに類似の形状の恐竜は、竜盤類の獣脚亜目の中に多種類ある。ギガノトサウルスやカルカロドントサウルスなどは、大きさで言えば同等である。しかし、骨組みを比べれば、見るからに頑健で骨太なティラノに対し、ギガノトらは全般に作りが華奢でか細い(相対的な比較で、人間などよりは遥かに図太いけれど)。ティラノサウルスは作りが格段に頑丈である。また、似た形で小ぶりなものも、アロサウルスを筆頭に、アルバートサウルス 、ゴルゴサウルスなど多数あって、このティラノ型の体型が各地で生態系の要所を占める「優れた」デザインであったことを示す。

類族の中で、ティラノは大きく、特に頑健さが抜きん出る。頭骨は大きな筋肉を支え、スタンフォードの生態機械工学チームによると、咬合力は1.5トンとされる(さらに強力とする説もある )。加えて、両眼視の視野が大きいという特徴がある。両眼視は距離をつかみ一点にフォーカスする狩りに有利で、ハンターに必須である。ネコ科、イヌ科など狩猟性哺乳類は両眼が前を向く。一方、ウシ、ウマなど捕食される立場の動物は、目を顔の左右に離し、単眼視の視野を広くして、敵を見張る。

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