8歳児「パパの単身赴任」に本音を語った瞬間 子どもの本音を引き出す感情の研究とは何か

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「これから、パパが単身赴任になったことについて研究を始めます」

研究。そうこれが内田家の会議のスタイルなのだ。

リビングで開かれる家族会議。この日の司会は小学2年生の幾望くん(撮影:江連麻紀)

「まず、パパが単身赴任になって苦労していることと、よかったことを話してください」。幾望くんがそう言うと、保育園年長組のいちのちゃんが「苦労ってなぁに?」と聞く。

「苦労って、困ってることかな?」梓さんが言うと、「パパがいなくて困ってること? いっちゃん、あんまりない!」と家族の笑いを誘う。

眠れなくなってしまった幾望くん

「パパは困っていることあるよ。幾望と1日全然話せないこと」

「ママは寂しいこと。前は仕事で疲れてても夜にパパと話してリセットできていたのが、今はできないのも嫌だし、子育てと仕事に追われてつねに疲れてる。夜も怖いな」

「僕も夜眠れない。パパがいないから1階にあるトイレに行くのが怖い。だからいちのを頼ってついてきてもらうんだ。ママは疲れてて、朝寝坊するから僕も遅刻しそうになっちゃう。前は学校に途中までパパと行ってたけど、今は一人だし……」

夜、梓さんや幾望くんが眠れなくなったのは、9月に起きた北海道胆振東部地震以来のことだ。毎日電話やスカイプで話もするし、健也さんは体力的にはきつくとも毎週、仕事が終わると家に戻ってくる。それでも、家族がいつも一緒にいられない事実は、内田家にとって大きな喪失だった。

だが、暗い話で終わらないのが内田家の会議のいいところだ。では「パパがいなくなってよかったと気づいたことは?」という質問に健也さんはこう口火を切った。

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