「家族会議をしたくても、まず夫婦がそろう時間がない」というのはよく聞く悩みだ。
共働き家庭が増えたこともあるが、何より夫の仕事の帰りが遅く、平日はまったく時間が取れないという家庭はまだまだ多い。それに、家族会議をすれば、家族の問題がすぐに解決するわけじゃないし、会議をしているから家族円満でいられるというわけでもない。すれ違いや日々の問題が、起きるのが家族というものだ。
それでも定期的に家族会議を開くことで、自分たちが大切にしているものに気がつくことができることがある。今回はそんな家庭の話を聞いた。
夫婦の時間がないからこそ家族会議
夫:岡野春樹さん 妻:早登美さん 息子:咲也(さくや)くん(2歳)、立樹(たつき)くん(0歳)
家族の課題:夫婦間のズレを月に一度解消していきたい
岡野家は現在、岐阜県の郡上市(ぐじょうし)で暮らしている。東京の広告代理店に勤務する春樹さんが、仕事の傍ら友人たちと立ち上げた社団法人の活動がきっかけだった。日本各地のいいところを探す旅をコーディネートする取り組みの中で、郡上という町に出会い地域発信の事業を立ち上げた春樹さんは、なんと会社に掛け合って期間限定の出向という形を認めてもらえた。
自然豊かな環境や、地域の人たちとの新しい出会いに恵まれた新生活は、充実している。育休中ということもあり慣れない土地で子育てを主に担当する早登美さんと、新しい挑戦に奔走する春樹さん。お互いの状況を共有したいと思うものの、まだ幼い2人の子どもの世話に追われていると、夫婦でゆっくり会話する時間がないのが実情だ。
「子どもが生まれる前は、2人で趣味のランニングをする時間もあり、そこでいろんな話ができていたんです。でも2人子どもがいて、生活の中ではなかなか夫婦2人で会話をする時間が少なくなってしまっていますね」(早登美さん)
そんな岡野家では月に1回「パイナップル会議」を開催している。
そもそも岡野家の家族会議が開催されたのは、2年ほど前。長男の咲也(さくや)くんが生まれた直後のことだった。初めての赤ちゃんのお世話で慌ただしい今だからこそ、これからどんな家族でいたいか考えよう。そして開いた第1回の会議は、家訓を決めるところからスタートした。
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