さまざまな家庭の家族会議の形や、あり方をルポしていくこの連載。続けていると、家族会議は家族のコミュニケーションツールとしてはいいことばかりだとしみじみ感じる。
でも、家族会議をすることで、本当に子どもにとっていい効果があるのだろうか? 重荷に感じる子もいるのではないか? そんな疑問はつねに胸にあった。もちろん、受け取り方は人によって異なるだろうけれど、家族会議を昔からやっていたという人に話を聞いてみたいと思っていた。
対話の基本は、「なぜ?」「どうして?」
ある時、「うちはずっと子どもの頃からやっていましたよ」と、古い友人が声をかけてくれた。彼女、最所千依(さいしょちえ)さんは、昔から自分の考えを、ユーモアを交えて話してくれる、話し上手・聞き上手な女性だ。
周囲は彼女の話をいつまでも聞いていたくなってしまう。現在は、本人曰(いわ)く「おしゃべり好き」な個性と能力を活かして、教育・採用・コンサルの指導にかかわる講師業を立ち上げ、活躍している。
そんな千依さんが、これまで一体どんな家族会議をしてきたのか、家族会議が彼女のパーソナリティ形成にどう影響したのか、お母さんと一緒に話を聞かせてもらった。
母:久美子さん 父:増男さん(故人) 娘:千依さん(38歳)
家族の課題:グローバル時代に生き残れる対話力のある娘を育てたい!
「いつ頃から、家族会議が始まったかなぁ? 確か小学校2、3年くらいだと思います」。柔らかい声で千依さんが答えてくれようとしていると、横で聞いていたお母さんの久美子さんがすかさず口を挟んだ。
「いえいえ、もっと前。2歳くらいの時から、自分の意見を話す“訓練”はしてきたでしょ」
え!2歳から自分の意見を話す“訓練”? そんなことできるものなのでしょうか?
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