男の子の才能を伸ばす親はあえて「放置」する 本人のこだわりの邪魔をしていませんか

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子どもの「お手伝いをしたい」という気持ちを、育てるのも潰すのも親次第だ(写真:Fast&Slow / PIXTA)

私はモンテッソーリ教育を行う保育士・幼稚園教諭・保育教諭を育成するとともに、「吉祥寺こどもの家」の園長として、毎日子どもや保護者の皆さんと接しています。親御さんからのご相談もたくさん受けるのですが、「男の子の育て方がわからない!」という声は、今も昔も変わらず私のところに多く届く悩み事です。特に、女性であるお母さんにとって、男の子は「未知の存在」なのか、男の子の育児が難しいと感じる方が多いようです。

なぜ男の子の育児は、こんなにも難しいと感じられるのでしょうか? それは男の子のすることが、親にとっては「わけがわからない」からでしょう。男の子を理解するためには、お父さんにとっては1つ、そして母さんにとっては実に2つの壁を超えなければなりません。

まずは、「大人と子どもの壁」。私たちは自分が子どもの頃にしていたこと、感じていたことを、すっかり忘れています。かつて男の子だったお父さんでさえそうなのです。自分も子どもの頃、同じようなことをしていたのにもかかわらず「どうしてそんなことをするんだろう?」と首をかしげてしまうのです。

そして2つ目は「男女の壁」。ご主人に対して「なんでそんなことするの?」「なんでそう受け取るの?」と感じるように、きっと息子さんのあらゆる行動・反応に「なんで?」と感じているお母さんは多いはずです。

このように、親となった私たちは、子どもの「行動の理由」がわからず、「大人の常識」で対応してしまいます。そして往々にして、それが子どもの才能の「芽」を潰すことにつながっているのです。

では、どのようにしたら、男の子の才能を潰さずに、育てることができるのでしょうか。具体的な3つの方法をお伝えします。

同じことでもやりたいだけとことんさせる

私たち親は、子どもが何かできるようになると、「では次のステップに」とすぐにハードルを上げてしまいます。たとえば、ブロック。大きなブロックが組み立てられるようになると、「じゃあ、これよりも小さいものを」と、これまでよりも手先の器用さを必要とする小さいブロックに替えてしまいます。そうなると子どもは、小さいブロックをうまく扱えるようになることだけに、多くの時間を費やすことになります。

しかし、こだわりの強い男の子にとって大切なのは、自分が納得するまで同じことを「やり続けること」。そうすることで試行錯誤を繰り返しながら、新しい工夫をしたり、アイデアを出したりすることができるのです。親が勝手にハードルを上げてしまうと、そのハードルをクリアすることに時間を取られてしまい、創意工夫するという段階に到達することができません。

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