そしてもちろん、子どもからの「なぜ?」「どうして?」にも、きちんと答えた。感情論や馴れ合いではなく、できるだけ論理的に話をする――。そうした基盤が、千依さんと両親のコミュニケーションの中に組み込まれていった。
小学生になった頃から、いよいよ最所家の家族会議が始まる。
議論が盛り上がって「延長戦」も
建築士として事務所を持ち、忙しくしていた父の増男さんだったが、夕食時には必ず帰宅し、家族3人で食事をすることを守り続けていた。千依さんが学校であったことを話し始めると、そこから議論がどんどん深まっていくのが日常の風景だったと言う。
「『会議をしよう』と言葉にしていたわけではありません。でも、私の学校の話、話題になっているニュース、父の仕事のこと、家族の誰かの口論の分析、など毎回いろいろなメイントピックがあって、それについて3人で話すということをやっていましたね。議論が盛り上がって食卓後も残って話をしたり、リビングに移動して話を続けたりということも、10日に1度はありました」
小学生の千依さんの意見ももちろん尊重される。自分の意見を大人に納得してもらうために、千依さんは時には図を書いたりしながら発言をしていたという。
「親と自分の考えが違ったら、なぜ違うと思うのか伝えないと何も始まらない。でもわかりやすく楽しく話せば、聞いてもらえる。それは嫌なことではなくて、私にとって楽しいことでした。成長するにつれ、親との会話を元に、幼稚園や学校、習い事の先生たちにも、自分の思いを上手に伝えるにはどうしたらいいかなって考えるようになっていきましたね」(千依さん)
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