「地方移住」ですれ違った夫婦を救った時間

2人で開く月1回の「パイナップル会議」とは

早登美さんも改めて考えると、移住が楽しみになったという。「1年先がわからない生活を選ぶのはちょっと普通とは違う選択だけど、それも楽しいかも、と。家族会議をして、ほかの人の価値観に引っ張られないで、自分たちがどうありたいかに焦点を当てたら、岐阜での暮らしって実はすごく理想的だと思えました」(早登美さん)

気がつくとケンカが増えるように…

移住先の住まいは、吹き抜けのログハウスや、広い庭つきの家。地域の人たちにも優しく受け入れられて、岐阜での暮らしは順調だった。

一方で春樹さんの仕事はどんどん忙しくなり、出張して家を開けることも増えた。大勢の人と会って1日中張り詰めて家に帰ると、どうしても完全「オフ」のモードになってしまう春樹さん。2人の育児と家事を一手に引きうけている早登美さんとの間に、意識の違いが増え、気がつくとケンカが増えるようになった。

家族でキャンプに出かけたり、できるだけ自然に触れ、体を動かすことを心がけている(写真:岡野さん提供)

「ある時、夫が『早登美は育児を楽しんでくれてるから、安心して預けることができる』と話していたのを聞いて、あれ、何か違うぞって思ったんです。確かに育児は楽しいけれど、やっぱり助けを借りたいし、話を聞いて欲しいこともある。”育児を任せる”という感覚に違和感があって。それをちゃんと伝えられてなかったんだと気づいたんです」(早登美さん)

「最近は特に、仕事で人と話し続けているから、帰宅するとまったくしゃべれないほど疲弊してしまって。早登美の不満の原因だというのはわかっていたけど、どうしようもできなかったんです」(春樹さん)

ある時、出張で東京に行く春樹さんに家族がついていく機会があった。早登美さんは、ドライブ中、子どもたちが寝た合間に会議を持ちかけた。自分が感じているズレを議題にしたが、その会議の間に2人は大ゲンカをしてしまう。

「本当に悲壮な感じで会議が始まって(笑)。出張で家にいないといかに大変かとか、とにかく不満を投げられ続けたんです。大変なのはわかるから最初は黙って聞いていたんですが、だんだん、早登美は全部環境や他人のせいにしてるじゃないか、と感じてしまったんですよね」(春樹さん)

「怒られて、めちゃくちゃ険悪な雰囲気になりました(笑)」(早登美さん)

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