日本の女子へ、1年間自由に過ごせ!旅に出よ リンダ・グラットン「聖心女子大学」特別講義

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澤野:日本人の主婦にとっては、高齢者介護も大きな重荷になっていますが、グラットンさんからはどう見えますか?

グラットン:日本の人口ピラミッドを見れば少子高齢化は一目瞭然ですね。でも、日本は健康的に高齢化するということに関しては先頭を切ってもいます。自分で自分の面倒を見られる高齢者も増えるかもしれません。

終末期にはお子さんの手が必要になるでしょうが、人生を通してずっとというわけではないでしょう。ですから、若いうちは親の介護は心配せずに、まずは若いということを楽しみ、どういった人生を送れるのか、大いに実験していただきたいと思います。

アイデンティティーは生涯更新するもの

澤野:では、会場から、質問を受けましょうか。みなさん、いかがですか?

学生A:『ライフ・シフト』にはアイデンティティーを確立することが大切だと書かれていますが、難しく感じます。ヒントがありましたら教えてください。

グラットン:アイデンティティーの確立は、生涯を通じて時間をかけて行うものなのだと思ってください。私も、年齢を重ねるたびに勇敢になり、徐々に自分が社会に対して何ができるのかを構築していきました。そして、まだいまでも更新している最中なんです。

役立つのは、旅に出ることと、読書。そして、関わる友人によってもアイデンティティーは変化します。自分と同じような人と一緒にいるよりも、自分とは違う人、尖った人、よその地域の人、異国の人などと交流して、多様な視点と可能性を知ることです。

学生B:日本は保守的だと思います。どうすれば自分の中の保守的な考え方を取り払って一歩踏み出せるのでしょうか。

グラットン:日本はある意味、パラドックスに直面していますね。日本にはすばらしい伝統がありますし、日本社会にも特別なものがあります。世界には、あなたが取り払いたいと思っている保守的な日本の価値観に関心を寄せ、羨望のまなざしを向けている人々もいますよ。ですから、日本を捨てなさいとは言いません。

みなさんの世代が直面している課題は、日本を日本たるものにしているすばらしいものを、どう残しながらどう若返るかということでしょう。いかに適応力と柔軟性のあるものに変化していくかということです。これはご両親の世代だけではなく、みなさんの問題でもあります。日本の若い方々はとても恵まれていますよ。教育も受け、先進国で生きている。その恵まれた点を生かして、社会を最善の状態に近づける足掛かりにしていかなければならないと思います。

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