起業を甘く考えている人が知らない怖い真実 会社で新規事業を立ち上げるのとワケが違う
「会社を作りたいんだよね」
「独立したいんだよね」
と安易に口にする人がいます。「何をするの?」と聞けば、「それはまだ、いろいろ考えているんだけど……」と言いよどむことがよくあります。私は、その人が友達ならば、断じて言います。「あなたは絶対に会社を作ってはいけない」と。
2006年に法律が改正され、1円起業ができるようになったり、学生ベンチャーがもてはやされるようにもなりました。また、「スタートアップ」という格好いい呼び名が浸透したこともあり、「社会も知らない学生でも成功できるんだから、ビジネスを経験した俺なら起業できる」とでもいうような風潮がそこかしこで見受けられます。
どうも世間では、「起業」が軽く見られているように思えてなりません。
起業とは、会社を作ることではありません。事業を作ることです。会社を作ることは誰でもできます。ネットで「会社 作り方」と検索し、その通りに手続きするだけです。
しかし、拙著『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門』でも詳しく解説しているように、今すでにあるサービスや商品を自らの手で販売していくだけでも大変なのに、まして、世にないサービスや商品を創造し、市場に浸透させていくベンチャービジネスを軌道に乗せるのは、並大抵のことではありません。
設立した瞬間から出血が始まる
会社というものは、設立した瞬間から”出血”が始まります。出血とはもちろん、おカネの支出のこと。まるで、動脈にナイフを突き立てたかのように、どんどん出て行きます。家賃、光熱費、交通費や宿泊費など、自分で払うとなると「バカにならない金額」であることにすぐ気づくでしょう。サラリーマンであれば当然支給されていた費用を自分で払ったとき、その重みを感じます。自分で会社を始めると、タクシーなんて恐ろしくて乗れません。
そして、最も重いのが人件費です。誰かを1人雇った瞬間に、毎月数十万円という経費が出て行きます。数人雇えば、手持ちの1000万円ぐらいは、あっという間に消えます。
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