日本の女子へ、1年間自由に過ごせ!旅に出よ リンダ・グラットン「聖心女子大学」特別講義

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グラットン:日本はテクノロジーの開発においても、健康的に長生きすることにおいても、得意分野ですよね。でも、その日本が過去10年間できなかったのは、新しい企業を作ることです。

リスクをとらずに安全な道を進みたいという若者が多く、起業家にならない。でも、本当に繁栄したければ、若者がアントレプレナー精神を持たねばなりません。

世界経済フォーラムがランキング化した各国・地域のアントレプレナー度を見ますと、トップがカリフォルニアで、最下位は日本でした。スタンフォード大学やハーバード大学の学生の多くは企業に入社せず、会社を立ち上げます。しかし、日本には若い方が起業する環境が整っていませんね。ここは課題だと思います。

澤野:アントレプレナーの資質を育てるには、どのような教育が必要でしょうか?

グラットン:アントレプレナー促進プログラムです。学生にまず世界を理解してもらうのです。自国のマーケットだけでなく、他国のマーケットも知る。次に、学生には共同作業を勧めています。起業に必要なのはパートナーシップです。ですから、異なる国籍の学生とグループを作ってアイデアを練らせる。そして、それをベンチャーキャピタルなどに紹介するのです。

シリコンバレーのグーグルもネットフリックスもそうですが、多くは大学周辺から生まれた企業ですよね。ハーバード大学の周辺には製薬会社がたくさんありますし、イギリスでもオックスフォード大学の周辺には、ベンチャー企業が集まっています。学生のアイデアを大学の外に持ち出してビジネス化するわけです。

人生100年時代の結婚

澤野:日本では、多くの女性が、結婚して子どもを産むと専業主婦になるという傾向があります。親の介護問題も出てきますし、女性にとって結婚相手との関係が人生に及ぼす影響は大きなものだと思います。人生100年時代においては、人間関係にはどのような変化が起きるでしょうか?

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グラットン:大きな問題は、「どうやって愛する人と人生を築いていくか」ということですね。私はまず32歳、34歳で2人の子どもを産みました。そして38歳で離婚し、シングルマザーとして生きてきました。そして、昨年6人子どもがいる男性と再婚しまして、8人子どもがいる計算になります。ですから、一般的な母親のアドバイスとはちょっと違います。

女子大生のみなさんには、ぜひ人生を通して仕事を続けていけるような計画を立ててほしいと思っています。こう言ってしまうのは申し訳ないですが、生涯を通して男性のお世話になり続けるというのは賢明ではありません。働くことはワクワクしますし、素晴らしい友人も得られますし、いいことずくめですから。それに、いま西洋諸国では、男性よりも女性の年金受給率が少ないことが問題となっています。

だからと言って子どもの面倒を見なくていいということはありません。結婚相手を探すときは、子どもの面倒をしっかり見てくれる男性を探しましょう。ご両親の世代は、もっぱら女性が子育てをしていたと思いますが、子育てをしたいという欲求は男性にもあります。

それに、100年の長い人生においては、女性だけが家族の面倒を見るというやり方は、男性にとってもつらいものになります。男性もこれまで家族を養うためにひたすら会社で仕事をするという役割だけを与えられてきて、変化したいのですから。

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