除夜の鐘には1カ月以上も早いはずなのに、巨大な鐘の音がゴーン!と鳴った。鳴らしたのは東京地検で、鐘は日産自動車に乗せて運ばれてきたらしい。この残響が消えない騒然とした状態で師走を迎えた。カルロス・ゴーン氏は有罪になるのか、そして、日産とルノーの関係はどうなるのか、興味は尽きない。
しかし、時は平成30年の年末だ。今回は「平成」という時代を振り返ってみることにしよう。そろそろあちらこちらで、「平成を振り返る特集」が出てくる頃合いだ。
最初のバブルは「昭和」から引き継がれた
「平成」はバブルに翻弄された時代だった。バブルが来て、崩壊して、その後始末に追われた30年間だった。
平成が始まったのは1989年だが、平成は昭和からバブルを引き継ぎ、これを仕上げるところから始まった。この年の年末に、日経平均株価は3万8915円の歴史的高値を付ける。
バブルは、簡単に言うと、借金による投資が拡大し過ぎて資産価格が高騰することで起こる。金融が緩和状態にあることと、リスクを過小評価する仕掛けかストーリーがあることがその発生の必要条件だ。
このパターンは、読者の皆様にもおなじみだろう。「毎度、性懲りもなく」と思うのだが、金融ビジネスの基本的ビジネスモデルが「他人にリスクを取らせて金利や手数料を取る」ものであり、今のところ、信用の過剰な拡大に歯止めを掛けるうまい方法がない。バブルが時々起こるのは致し方がない。
平成第1のバブルだった日本の株価と地価の大バブルは、規模も大きかったし、バブルが備えるべき特徴をフルセットで備えた「完璧なバブル」だった。あのころを知っている年代の日本の投資家は、資産形成にあっては不運だったかもしれないが、経済知識を得るうえでは幸運だった。
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