主人公は結果的に「僕」の部分が多い
──今回、小説という形を取られたのはなぜですか?
平成が終わるということで、何か作品を書きたいという思いがありました。本屋さんに行くと平成論の本がたくさん並んでるけど、全部失敗してる気がする。たまたま平成という名でくくられたこの30年間を理論化するのはすごく難しい。だったら物語の形を取ったほうが、平成という時代、その終わりの空気感を表現できるんじゃないかと思いました。
──主人公「平成くん」の人物像にご自身を投影されていますか?
友達の部分もあるけど、結果的には、僕の部分がすごく多くなったなと思います。恋人の「愛ちゃん」と触れ合うシーンは少し異常に見えるかもしれないけど、実際に僕は粘膜の接触が好きじゃないし、セックスが好きじゃないのはそのとおり。「こうなったら楽だな」みたいな感じの理想の描写です。よく潔癖症と勘違いされるんだけど、家の中は案外散らかってたり、他人のにおいには敏感でも自分のは気にならないとか、そういうところは近いなと思います。
──「僕はもう終わった人間」「僕に未来はあるのか」「時代を背負った人間は必ず古くなっちゃう」と平成くんは言う。平成の終わりに感慨深さみたいなものがある?
どうなんだろう。20世紀が終わるときは、もっと終末感とか世紀末っぽさが漂うのかなと思ったら、意外にだらーんと21世紀に入っちゃったじゃないですか。そこで平成はどうなるんだろうな、と興味があって。
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