「スキルの蓄積」を重視しない中国が払うツケ

「量」で考える中国人と付き合うには?

日本と中国、考え方や慣習の違いの溝を狭めることはできるのか(写真:二匹の魚/PIXTA)
物事に対し「あるべき論」が好きな、いわばスジを通したがる日本人。一方、中国人が重視するのは「あるべき」ではなく「あるのか、ないのか」の現実。「ある」なら「どれくらい(量)」が判断基準になる。両者の思考方法を「スジ」と「量」で表し、相互の理解を促す。『スッキリ中国論』を書いたBHCCパートナーの田中信彦氏に聞いた。

──行列に割り込む中国人の論理には笑ってしまいました。

自分が急いでいるとき、ほかの人が急いでいなければ割り込んでも順番が1つ遅れるだけだから問題はないだろう、と考えるのが中国人。実際に割り込んで怒る人がいたら、怒った人の後ろに入り直してみる。逆に、自分が割り込まれる側になっても、自分が急いでいなければ怒ったりしない。

社会的影響が大きくなければ犯罪ではない

──窃盗も量によっては刑事罰を受けないというのも驚きです。

量で考える社会は、こうあるべきという考え方をしないので、許容範囲が広い。あくまでも、行動によって大きな問題が起きるかどうかが判断基準だ。違法行為であっても、社会的影響が大きくなければ犯罪ではないと考える。窃盗も500元(約8500円)以下は犯罪にはならない。

──着想を得たのはいつ頃ですか。

1990年代の半ばから中国に進出する日本企業が増え、その手伝いをする中で両者がかみ合わない場面をたくさん見た。日本人には中国人の臨機応変さがいいかげんと映るし、中国人には現実に即さない日本人がバカに見える。これではうまくいかない。

──割り込みなど日本人には理解が難しい量の社会のメリットは?

一言で言えば、変化に対応しやすいということ。しかも価値基準が自分ではなく、親、学校、リーダー、国家など外にあり、これをやれば人に褒められる、力を認められるとなると、みんなが一斉に同じことをやる。だから社会全体が急激に変わることができる。

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