小5で不登校になった少年が見いだした「道」 親の「いいね」が子どもの人生を変える

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結成当時の「JERRY BEANS」メンバー(写真:不登校新聞)

それが「これがやりたい」という思いが湧いてくるようになったきっかけだったと思います。

バンドを始めたのもみんなとの遊びの延長です。メンバーの八田くんがギターを弾いたことがあると聞いて、みんなで教えてもらいました。

見よう見まねで楽器をさわっていると、それを見た親がすごく喜んでくれたんです。

すぐに親同士で集まって、部屋の壁に防音用の発泡スチロールを貼ってスタジオをつくってくれたりして、いま思えば、僕らより夢中だったかもしれないですね(笑)。

親の悲しむ顔がつらかった

ただ、それが僕のなかの大きな転機になったんです。

それまで、僕は親の悲しむ顔しか見たことがありませんでした。居場所でも子どもは楽しそうにしているけど、ふと横を見ると、親たちはみな涙ぐんでいる。

僕が学校に行かないせいで親を泣かせているというのは、やっぱりとてもつらかったです。だから、親の喜んでいる笑顔を見たとたんに思ったんです。僕は音楽で生きていこうって。

――親の影響が大きかったんですね。

そうですね。それに、僕は不登校になってから、夢見ることをやめたんです。ほかの子が自分の夢を叶えるために学校に行っているんだから、僕には夢見る資格なんてないんだろうって。

体育館のステージで開催された「講演ライブ」の様子(写真:不登校新聞)

そういう思いだった僕にとって、親が僕のことで喜んでくれたことはとても大きな出来事でした。

もし、絵を描いて親が喜んでくれたとしたら、もしかしたら僕は絵描きを目指したかもしれません。

だからこそ、親御さんには子どもがすることをなるべく否定してほしくないって思うんです。子どもの可能性を潰すことになってしまうかもしれないから。

「いいね」って言ってあげることが、その子の人生を変えるかもしれません。

――新しく居場所を立ち上げると伺いました。

じつは、NPO法人の立ち上げに動いています。その活動の第1弾として、兵庫県芦屋市で子どもの居場所を始めようと考えています。

不登校して何がつらくて、何が必要だったのか。僕らの経験を通じて伝える「講演ライブ」は今後も続けていくつもりです。

とはいえ、思い返してみると、つらいことばかりじゃなかったんです。みんなで集まって野球したり、自転車で遠出したり、楽しい思い出もいっぱいありました。

そして何より、不登校だったからこそ、「JERRY BEANS」は生まれたわけです。

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