教育困難校では「風呂の入り方」も教えている 学力以前に生活スキルがない生徒も存在
教育困難校の存在意義は大きい
ほとんど世間で注目されていない「教育困難校」の実態を、これまで述べてきた。恵まれない家庭環境に育ち、何かしらの理由で早い時期から学校生活につまずいて低学力に陥り、高校入試で振り分けられ、「教育困難校」で無気力・無目的な高校生活を送っている彼らの姿は、多くの人にとって驚愕をもって受け止められたのではないかと思う。中には、このような学校は税金の無駄遣いだから、即刻廃校にすべきと考える人もいるだろう。
しかし、「教育困難校」には、現在の日本において大きな存在意義がいくつもある。最大の意義は、社会の常識や生活のマナーを教える場ということだ。「教育困難校」の生徒の家庭は、経済的に厳しかったり、家族関係が複雑だったり、非常に不安定な状況にある場合が多い。そのため、普通の家庭環境に育った高校生であれば、幼い頃から家庭生活の中で身に付けている生活のスキルが身に付いていないことがある。
スキルといっても、それはまったく難しいことではない。食べたり、寝たり、体を清潔にするといった、人間として生きるごく基本的なスキルが、彼らには身に付いていないのだ。たとえば、修学旅行前に必ず行わなければならないのが入浴方法の指導である。
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