「似た人ばかり」採用する会社に欠けた視点 同質化された中で新しいモノは生み出せない

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ビジネススクールやMBAプログラムから役員室へ直行したようなエリートは、競合分析・ビジネスゲーム理論・市場モデルなどのツールやテクニックを深く考えずに使うことがある。さらにひどい場合は、「こうしたツールがそもそも適切かどうか」を考えていなかったりするのだ。

彼らは企業を、「明確に組織化され、一定の秩序のもとに物事が進む場」ととらえている。そこでは「感情」は歓迎されない。つまり、企業が人間によって構成され、人間によって動かされ、その人間には「感情」があることを、彼らは見落としている。企業から「感情」を排除したこと、あるいは排除しようとしたことで、アートとビジネスの間には大きな断絶が生じてしまった。これは現代の企業が抱える大きな問題だといえる。

失敗と正面から向き合う

企業文化というものは、否が応でも、リーダーの影響を大きく受ける。創業者もマネジャーも決断を下して企業文化に痕跡を残す。そして、その跡は企業文化とともに長きにわたって残るものだ。

カリフォルニアの著名なアニメーションスタジオ「ピクサー」は、1986年の創業以来、20本の長編作品を製作し、総興行収入は110億ドルを超えている。つまり1作品当たり約6億ドルを稼いでいるということだ。ピクサーは創造的精神でよく知られている。同社がビジネス面でも財務面でも成功を収めることができたのは、この創造的精神のおかげだろう。そして、そこで行われていることの大半は、伝統的な企業でも実行できるものだ。

ピクサーの価値体系の中で最も重視されるのは「創造力を発揮させ、評価すること」である。ピクサーで自己表現が尊重されるのはこのためだ。社長のエド・キャットムル氏は、著書『ピクサー流 創造するちから』でこう述べている。ピクサーのアニメーターは、自分の仕事場を好きに飾るよう奨励されている。中には、ピンクのドールハウス、本物の竹を組んだあずまや、入念に彩色された城で1日を過ごす人がいる。

キャットムル氏は、創造的な作品がピクサーの核であり、エッセンスであると理解している。これがピクサーの羅針盤なのだ。彼は「効率は目標の1つだが、品質は究極の目標である」とチームのメンバーによく話している。そして、その目標を達成するには、最高のものを目指すしかないのだ。

これは、「ピクサーでは誰も失敗しない」という意味ではない。失敗は創造的プロセスの主要な一部であると考えられている。ピクサーでは、失敗したからといってとがめられはしないし、彼らは失敗と真正面から誠実に向き合い、それを次に活かすことを考えているのだ。

あなたは失敗者を除外するだろうか。あなたの会社では失敗が評価されるだろうか。何か新しいことを始めようとした人を解雇したことがなかっただろうか。一度失敗しただけでプロジェクトを中止していないだろうか。何度でもやり続けるチームを支援しているだろうか。

リーダーは、こうした難しい問いを自分に問いかけなければならない。その答えから、自社が創造的な企業文化を持っているかどうかがわかるかもしれない。創造的な文化を築くには、リーダーは失敗を失敗で終わらせず、創造性をたたえ、社員と組織全体が失敗から学ぶ機会を与えなければならないのだ。

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