選考時、そうした本人が気づいていない部分を教えてあげたいと、多くの人事が思っています。しかし選考はあくまで、会社に必要だと思う人材を獲得する時間で、学生を育成する時間ではありません。
また、選考という限られた時間の中では、NG部分を指摘して、それを素直に受け止めてもらえるほどの関係を作ることも難しい。下手したら、SNSで「○〇社の人事に偉そうにこんなこと言われた!」と書かれる時代でもあり、気づいてほしいことを、会社のイメージを損なわずにうまく伝えることも困難なのです。
ちなみにインターンシップは「学生と接触する時間に比較的余裕があり、いっしょに活動する中で信頼関係も生まれやすいため、気づいたことをしっかりフィードバックしてあげられる。参加した学生もそれを望んでいるから嬉しい」という人事の声を聞きます。
インターンシップを利用するのもよいですし、自分の友人や先輩、家族、学校や部活の先生、ゼミの教授など、自分をよく見てくれている人は、探せばたくさんいるはず。ぜひ、自己分析を自分だけで終わらせず、他人から見た自分を理解する場を設けて、自分が思っている自分とのギャップを埋め、等身大の自己PRにつなげて下さい。
人事としては、自己認識と他己認識のギャップが少ないほど、コミュニケーションが円滑になります。さらに互いに感じる強み弱みが一致することで、互いが納得し合う適材適所が考えやすいこと、そして将来に向けた成長イメージの共有もしやすいことなどがあり、とても安心するのです。
人事の多くが壁を乗り越えた話が好き
これは、私が知っている人事や経営者の方、ほとんどが好きです。社会人になると、いろいろな壁にぶつかります。学生時代とは全く違う、複雑な利害関係がある中に巻き込まれながら、誰かの役に立ち、実際にお金を稼ぐということをしていきます。
そんな中、想像以上に覚えなくてはいけないことや、こなさないといけないことが多く、競争相手も多くなります。厳しい現実に接し、これまでなんとなくうまくいくだろうと思っていたことが、信じられないくらいにうまくいかないということに、たくさんブチ当たります。
よって人事は、選考している人材が壁にぶちあたったとき、どうなりそうなのかをとても気にしているため、いろいろな壁を乗り越えられそうな人材という印象が持てる話を好むのです。
たとえば、「目標に向かってメンバーに働きかけたが、誰もついてこず、空回りしたまま1度は終わってしまった。そこで、メンバーがついてくるような工夫をした結果、目標を達成することができた」というような、組織が関係する失敗や壁を乗り越えて成長し、成果を出せた話は、会社が組織なだけに、将来の活躍イメージができるPRにつながりやすいと感じています。ただ重要なのは、工夫をした内容です。そこにその人ならではの個性が発揮されます。
一方、学生時代にたいした壁にぶつからず、なんとなくやってこられた人は、「社会人になって壁にぶつかったとき、その壁を超えられるのか? 大丈夫か?」と、なるわけです。そして「自己PRが一見完璧なのに、これまであまりにもうまくいきすぎているため、失敗してしまったときのリカバリーが効かないのでは」と、選考で落としてしまうケースもあります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら