逆に、大変な失敗をしたり、壁にぶつかったのに、そこから自分の努力と工夫で、その失敗を取り返したり、壁を突破したりして、できなかったことができるようになったというエピソードは、採用する側にとって、社会人になってからも、同じように諦めずがんばってくれるだろうという想像をかき立て、非常によい印象を持ちやすいのです。
ただ、その失敗や壁のエピソードが「その程度のことで……」と思われるようなことは、マイナス印象であるのは、あらかじめ伝えておきます。しかし、自分の現状レベルを超えるために挑んだうえでの失敗や壁にぶつかったことを、どう乗り越えたか、その人らしさが出る形でPRできれば、印象がよくなる可能性は高いと思います。また、そのような人材は、社会人になってからも実際に活躍する可能性が高い、というのが人事担当者の間での共通認識です。
“盛った”自己PRは深堀り質問でバレる
日本の新卒採用は、今のところ「即戦力採用」ではなく、入社後どれだけ伸びるかという期待を含めた「ポテンシャル採用」が主流です。だから選考でも、「今何ができるか」ということより、「今後、どれだけのことができそうか、成長できそうか」という視点が重視されます。そのため、その人が今後の成長を感じさせるPRは、とても刺さりやすいのです。
以上が人事担当者から見た自己PRのポイントです。なお、自己PRについて、「採用されるために実態以上に話を“盛った”場合、それを人事担当者は見破られるのか」を、気にする人もいるでしょう。
結論からいうと「選考の中で必ず見破られるわけではないが、真剣に選考している企業、優秀な面接者は、見破ることができる」です。
その話がどれだけ本当に自分で考え、工夫、努力し、行動した内容なのか、というのは、掘り下げて質問をしていき、複数の話を聞いていけば、わかるものです。適当な作り話では、かえって評価を下げる結果になりかねません。そして「もし見破られなかったとしても、実際に働き始めたら、その盛った部分はほぼバレて、結果、その組織にはいずれいづらくなる可能性は高い」と言うのが私の考えです。
盛ろうが何をしようが、採用されれば勝ち、という考えの人もいるとは思います。しかし、エピソードを“盛って”、嘘をついて入社することは、嘘の自分を買われたことになります。だからその嘘の自分とずっとつきあっていくことになります。その嘘に、すぐに追いつく成長と行動をする覚悟があるならともかく、その覚悟もないなら、私は、その生き方はしんどいのではないかと思います。
人の価値観の話になるので、何が正しいかは決められませんが、健全な心で長く気持ちよく働ける職場、仕事を手に入れるためには、嘘の自分ではなく、できる限り本当の自分を受け入れてもらえることが、大事だと考えているのです。
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