元ガンバ選手が目指す「リサイクル」の新境地 SOU嵜本晋輔社長にロングインタビュー
朝倉:御社のビジネスモデルだともっと海外のバイヤーが来るのでは?
嵜本:関税の問題であきらめる方が多いですね。また、日本の古物商の許可も必要になります。
村上:御社側の工夫でオークション方法を変えて関税の問題をクリアすることは難しいのでしょうか?
業界の暗黙のルール
嵜本:現時点では簡単ではないですね。業界慣習的な理由ですが、オークションをオンラインで世界とつなげてもうまくいかない。オークションというと「5万!」「10万!」と競っていくやり方と思うかもしれませんが、私たちの業界では、一斉に値段を出していちばん高い人が落札するのが暗黙のルールなんです。後から15万、20万と乗せるのは「美しくない」とされています。
村上:実際は価格は青天井ではなく、マーケットプライスがあるということですね。プロフェッショナルとして、お互いの利益を食い合わないようにするわけですね。
嵜本:そうですね、出し合った競り価格の2000円の誤差にしびれるみたいな話ですね(笑)。そういう業界なので、各出品商品が落札されるまでにかかる時間が非常に短く、1日で多くの点数をさばくことには向いています。時計だけで10億円以上売れることもありますからね。
このあたりのノウハウを日本一持っているということは、世界一だと言っていいと思うんですよ。東南アジアはまだ買取の文化がありません。質屋の文化です。アメリカは委託で、こちらも質屋の文化です。買取があまり活発ではないわけですね。
そのため、われわれのオークションのように、BtoBのラグジュアリーリユースマーケットも存在しないわけです。ここまで充実しているのは日本だけではないかと思います。ですから、BtoBのマーケットデータを持てる企業は海外でも確実に強いはずだと考えています。