元ガンバ選手が目指す「リサイクル」の新境地 SOU嵜本晋輔社長にロングインタビュー
朝倉:メルカリや、CASH(キャッシュ)を脅威に感じる部分はありますか? あるいは、取扱商品の性質が違うから問題はないでしょうか。
嵜本:そうですね。あちらの商品単価は数千円ではないかと思います。少額資金ニーズに応えるためのプラットフォームなので、現時点では高額商品が取引されるプラットフォームにはなっていないと感じます。中国Alipay(アリペイ)のジーマ・クレジット(芝麻信用)のように、与信が担保される仕組みができたり、ブロックチェーンで個人の出品でも登記簿謄本のようなかたちで元の持ち主がわかる状況になると、CtoCも競合になると思います。
ただ、現時点ではそこまでは進んでいないこともあり、競合とは感じていません。お客様からすると、CtoCはいつ売れるかわかりません。しかし、われわれのリアル店舗では即現金化できます。技術が進歩したとしても、リアル店舗で即現金化できることが、まだまだ重宝されると私たちは考えています。
朝倉:SOUの店舗側のブランドが高まっているからこそ売り手も安心感があるということですね。
嵜本:そうですね。今では百貨店や誰もが知る商業施設内にも出店しています。これまで買取店は、ややもすると悪いイメージで見られていたところがありました。ところが、メルカリのような存在のおかげでモノを売ることがポジティブに捉えられるようになってきました。そういった流れもあって、商業施設への出店チャンスをいただけるようになったのです。
これがお客様の信用、信頼につながって、さらにリアル店舗への来店が増える状況に繋がっています。この3〜5年くらいはまだリアル店舗が強い状況かと思っています。ただそれ以降、3〜5年後に私たちの脅威となるであろうものがある程度明確になってきているので、今はその対策としてデジタル分野に投資をしています。
高額品の買取には信用の担保が不可欠
朝倉:脅威というのは具体的にいうと?
嵜本:信用の担保に尽きます。モノの出所がはっきりしてくると、今までのCtoCのように、出品されているものは偽物じゃないかという不安がなくなるので、単価の高いものでも取引されるようになると考えています。CtoCの信用が高まってくることに対する対抗策を少しずつ考えている段階ですね。
村上誠典(シニフィアン共同代表。以下、村上):オンラインでモノを売る場合、工夫の余地があると感じるのはプライシングですね。出品者側、売る側の心理としては「交渉の余地があるか」「買いたたかれないか」といった心配があり、踏ん切りがつかないことがありそうですが、御社の場合、安心感の打ち出しについて、何か工夫をされているのですか?
嵜本:プライシングについては、事前に電話やメールでの査定を経由しますが、リアル店舗に来店される割合が全体の15%前後です。ほとんどのお客様はホームページを見てこのお店は間違いないと飛び込みで来られます。LINE査定では月間で10億円ほどの問い合わせをいただき、そのうち2割ほどがリアル店舗に来店されています。