女性こそ「LGBT」の問題に関心を持つべき理由 「自分だけ大変」では世界は変わらない

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差別というのは、している本人がまったく自覚がない、「当たり前だ」と思っている言動が実は相手を傷つけることに気がついていないという傾向があります。せいぜい「冗談が通じない」「気にしすぎだよ」ぐらいにしか思っていません。これをアンコンシャス・バイアスといいます。

差別を受けた経験のある女性は、その痛みを知っているので、LGBTなど別の理由で異質な人を差別し、傷つけることがないようにしたいものです。

若い女性の中には家庭でも学校でも職場でもあからさまな差別を経験したことがなく、差別される側の痛みに鈍感な人もいますが、それはすこし寂しいことです。一人ひとりの個性を尊重してダイバーシティ、多様性を受け入れるなかで、女性のかかえる問題を解決していこうというのが国際的な流れです。

そこまで大上段に構えなくても、みんなそれぞれ他者と違った「自分」の問題を抱えているのです。背が低い、太っている、学歴がよくない、英語が不得意、家庭が不和、介護が大変などなど、それを理由に差別されたり、「こうあらねばならない」という抑圧から解放されると、視野が広がり、新しい風景が見えてきます。

自分と違った背景を持ち、考え方を持ち、発想を持つ人を「へー、そういう考えがあるんだ」「なるほど」と面白がる。そうした心の柔軟さ、広さが、そして人の痛みがわかることが、これからの社会を生き抜いていくうえで不可欠になっています。

個の違いを認め合い、尊厳を認める

あなたの隣に机を並べる同僚の中にも外国出身の人、外国の人と結婚している人、イスラム教やキリスト教を信仰している人など、さまざまな背景や価値観を持つ人が増えているはずです。障がいを持ちながら働いている人もいるでしょう。

その人たちをみんな同じに扱うのでなく、その人たちの一人ひとりの違いを認めたうえで、特性、強みを発揮するのを応援し、仲間として協力していくことが必要です。それは私たち女性自身の問題でもあります。

女性を差別しない、というだけでなく、女性が強みを発揮するのを喜ぶ、特性を受け入れる、新しい考え方や見方から刺激を受ける、個人個人の能力を尊重する、というのがダイバーシティの基本です。自分の事だけで一杯いっぱい、他人のことなど考える余裕がないと言わず、LGBTも外国籍の人のことも、自分たちの問題として考えましょう。

ここまで言うとそれでは私たちの昭和女子大はトランスジェンダーの人を受け入れるのか、と聞かれそうです。私個人としては女子大の教育を理解し、ぜひそこで学びたいと望む人は拒否する必要はないと思っています。しかし大学にはいろんな考え方や感じ方の人もいますし、性自認をどう証明するか、学寮研修などをどうクリアするかなど、具体的な課題を検討して決定するつもりです。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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