男性に関する外見差別、なんといっても代表的なのは「ハゲ」です。なぜ髪の毛が少ないくらいで、あんな差別的な扱いを受けなければいけないのでしょうか? ある女性の社会生物学者が、論文で「なぜハゲのように婚姻市場で明らかに不利に働く属性が、遺伝子的に生き残るのか」について論じていて、絶句してしまいました。
「『明らかに不利』って、それはおまえがハゲを嫌いなだけちゃうんか?!」と、ひとりでツッコんでしまったのですが、その人の解釈によると、「ハゲ」は若年のときには確かに不利に働くが、一定の年齢を超えると、ある種の貫禄を持つようになるのだそうです。少し古いですが、旧ソ連のゴルバチョフのハゲは、確かに威厳があるのかもしれません。
テレビの街頭インタビューで「理想のタイプは?」と聞かれた女性が、「私なんか、もらってくれるだけでいいです。とりあえず髪の毛さえあればぁ~」と、のたまったのを見たときも、びっくりでした。そんなに重要なんでしょうか、髪の毛って? 逆に、好みの女性を聞かれた男性が、「つきあってくれるだけでいいです、○○さえあれば~」と女性の容姿について発言したら、女性の側からブーイングが起きますよね……。
ちなみに「ハゲ」は差別用語だという議論があるらしく、「髪の毛の不自由な人(hair disadvantaged)」と言うんだそうです(『当世アメリカ・タブー語辞典』文藝春秋)。
アメリカには「政治的に正しい表現(politically correct terms、略してPCterms)」というものがあり、たとえばそれによって、ファイヤマン(消防士)はマンが男だけなので、ファイヤファイターに置き換えられていきました。スチュワーデスがキャビンアテンダントになったのも同じ理由からです。
この本はアメリカのそうした「政治的に正しい(=差別的でなく、リベラルな価値判断の)言葉」を半ば揶揄して編集されたものなのですが、面白い表現がたくさん上がっています。外見差別(=面食い主義)をlookismというのですが、「君はめがねを外せば、きっともっと面食い主義の犠牲になれると思うよ」とか、食事に出てくる肉を「焼け焦げた動物の死体」と呼ぶとか……。
チビ差別?
「ハゲ」と来れば、「チビ」です。こちらは個人的に恨み骨髄なので、言いたいことが山ほどあります。まずあの学校の、背の順に並ぶ慣習は、どうにかしてもらえないでしょうか?
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