グローバルエリートからの講評
さて、今回は様々な国の友人に自分のキャリアを振り返って一番大切なキャリア開発の基本は何かとの問いに応えてもらい、その一部をご紹介差し上げたが、どこの国の友人も押しなべて、「好きなことをやれ」「人生のビジョンと合致したキャリアを歩め」「夢と信念に従え」「自分が人生で成し遂げたいと思っていることをできることを仕事にしろ」と、本質的には同じメッセージを送ってくれている。
これを鑑みた時、そもそも自分の好きな事や夢や信念を持っていないと、どれだけ仕事を頑張ったところで幸せになれず充実した人生を送れないことを物語っているのだが、“自分の夢なんて知らない”という人が大半ではなかろうか。
しかしそれでもご安心いただきたい。ここで私のカナダ人の友人のロバート(仮名)が書いているように、社会人になって数年は、自分が一番やりたいことは分からなくても、少なくともどんな仕事を嫌いなのか知るための時間と割り切って、自分が本当にやりたいことに近づく必要な投資なのだと思えばよいのだから(かといって30代後半や40代になってまだそんなこと言っていると、さすがに時すでに遅しなのだが・・・)
なお近年よく耳にするようになった“キャリア以外に幸せを求める”生き方だが、バルセロナでコンサルタントをしている私のスペイン人の友人は日頃からよくこう言っている。
「俺は仕事に幸せを見出していない。あまりに多くの人が、人生でやりたいことではないキャリアでの出世に血眼になって、人生を幸せにする手段であるはずの仕事が自己目的化して、社会的地位とお金があるけれど不幸せになった人を多く見てきたからだ」
こう思えばフランスとかヨーロッパでで生活していて、あまりにもサービスが悪く、休暇が多すぎ、すぐ店が閉まるのも“キャリア本意にしない生き方”という意味で、ある意味先進的な社会のあり方なのかもしれない。
日本の世界最高水準のサービス文化は今後もぜひとも保ってほしいが、文化的に滅私奉公の精神が強いだけに、仕事に打ち込み頑張ることを人生の幸せと取り違えることがないようにしたいものである。
「好きなこと、人生で成し遂げたいことを仕事にする」ことこそがどんな仕事術や勉強術よりも“成功”に近づくということを忘れてはいけない、と自戒を込めて呟くシンガポールの昼下がりであった。
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