安倍首相は「2019年衆参同日選」を睨んでいる 消費税率引き上げの是非と北方領土が争点だ
第197回臨時国会が10月24日に開会した。会期は12月10日までの48日間だが、開始早々に「延長」の話も出ており、初日からそわそわした雰囲気にあふれていた。というのも、今国会は2019年の通常国会、統一地方選挙、改元、そして夏の参議院選挙まで続く、「一連の大きな政治の動き」の始まりといえるからだ。
安倍晋三首相の所信表明は同日午後に行われた。翌25日からは訪中日程が入っているため、代表質問は週明けになる。11月にはロシア訪問があるのではないかともささやかれている。9月にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領から、「前提条件なしで年末までに平和条約を締結しよう」との提案があった。これに対して安倍首相がどう応じるかが問われる。
2019年10月からは消費税率が8%から10%に引き上げられることになっており、10月15日の臨時閣議で安倍首相が予定どおりに引き上げると表明した。
来夏に「衆参同日選が行われる」との説が有力
しかし、経済状態はまだ不安定で、たとえば安倍政権が経済の重要な指標とする株価が10月中旬に大きく下げたことは、景気に対する大きな懸念材料だ。せっかく回復基調に乗りつつある日本経済は、はたして消費税アップに耐えられるものなのか。
そもそも軽減税率制度を導入することで、どれだけ増税効果があるのかもわからない。野党はここを攻めてくるはず。実は「来夏に衆参同日選挙が行われる」との説が有力だ。消費税率引き上げの是非を問うために、安倍首相が同日選を決行するとの見立てである。
北方領土問題も、同日選の材料になる。日本政府の原則は「4島返還」だが、ロシアは択捉島と国後島に第18機関銃・砲兵師団を駐留させ、対艦ミサイル部隊も配備済み。大勢はいまさらこの2島の返還はほとんど不可能と見る。それならば、とれるところからとるということで、最近台頭しているのが、歯舞諸島と色丹島の2島を先行返還させ、国後島と択捉島の領有権は放棄しないまま現状維持するという案。この是非を選挙の争点にしようというわけだ。
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