安倍首相は「2019年衆参同日選」を睨んでいる

消費税率引き上げの是非と北方領土が争点だ

こうした案が出てくる背景に、安倍首相の総理大臣としての「終活」がある。今年9月の自民党総裁選挙で3年間の任期を得たが、もう再任はないだろう。規約を改正すれば4選は可能だが、そこまで長期に政権が持つかどうかはわからない。念願の憲法改正はぜひとも実現したいが、いまなお「全国会議員の3分の2以上の賛成」という発議要件を満たせるかどうかは疑問だ。しかも来年夏の参院選では、2013年に大勝した自民党が議席を減らすと見込まれており、その後の改憲はさらに困難になるのは間違いない。

外国人労働者の受け入れもテーマ

これらに加えて、外国人労働者の受け入れもテーマになるかもしれない。これまでの日本は建前上、「鎖国」を貫いてきた。しかし、少子高齢化社会の下、人手不足は著しい。8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍で、新規求人倍率(同)は2.34倍。完全失業率(同)は2.4%だが、売り手市場の原因は好景気というより、むしろ労働力不足の影響が大きい。

とはいえ、労働力を海外から調達するのは、簡単ではない。外国人が居住地の慣習などに溶け込めるかどうかなどといったローカルな問題ばかりではない。かつてドイツは中東から移民を受け入れたものの、少子化が進むドイツ人と子だくさんの移民との間でギャップが生まれ、ドイツ人から、自分たちの納税が外国人の子どもの教育・福祉に使われることに不満が噴出したことがあった。こうした問題がこじれると、かなり厄介だ。

そういう意味で、外国人労働者を受け入れるということは、彼らの生存権の問題にもつながりかねないほど重要になる。日本人と同等の権利を認めるのかどうか。国民民主党の玉木雄一郎代表は、「憲法改正の中で議論すべきテーマになるかもしれない」と述べた。

これらはいずれも日本に大転換を迫る重要事項だが、ここで成果を上げれば、安倍首相の名前が歴史に刻まれることになる。そのための布石を安倍首相は打ちつつあると筆者は見る。

一方で野党といえば、消費税率引き上げのほか、日米物品貿易協定(TAG)や森友学園問題、加計学園問題などでも連携して安倍政権を厳しく追及し、参院選では1人区で野党共闘を実現させるということでおおむね一致。また2人区でも「自民党が複数の候補を擁立する場合、2議席を独占させないためにも、野党共闘を実現する必要がある」と無所属の会の岡田克也代表は記者ブリーフィングで述べている。

岡田氏は比例区について、「民主党は2013年の参院選で獲得したのは713万票だったが、2016年には1175万票まで回復した」と、票が野党へ戻ってくることに期待を寄せた。

しかし実情は、さほど楽観的になれるものではない。野党同士で選挙区の候補を互いに奪い合うという状況も生じている。中には、「報復」のために対抗馬を立てる話も出たりで、なかなか穏便ではない。政治は恩讐の塊である。

また野党共闘を標ぼうしながら、野党内で所属先を移動するなど、有権者には理解できない行動もかいま見える。もっとも、それは「本人が生き残るための選挙対策」と割り切ればなんとか納得もできようが、口先だけの説明では不信感が募る一方だ。

10月24日に開かれた国民民主党の玉木代表の会見でも、正式に離党が認められるより早く立憲民主党への会派入りを認められた今井雅人衆議院議員について、ベテラン記者から「そんな仁義もないことをやっているところと、はたして野党共闘できるのか」との叱責に近い批判が出た。

こうしたところに、参院選に合わせて衆議院が解散されれば、野党にとってひとたまりもないだろう。衆参同日選挙はそういう意味で、現実味を帯びた話といえるのだ。

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