安倍「史上最長政権」を待ち受ける落とし穴 求心力低下が必至、改憲も厳しい
安倍晋三首相が自民党総裁3選を受けて第4次安倍改造内閣を発足させてから1週間。10月24日召集予定の次期臨時国会に向け、「全員野球」内閣の12人の初入閣組や、いわゆる「魔の3回生」が中心となる各省政務官らがそれぞれの担務の勉強にいそしむ中、首相はすでに「史上最長政権」の運営戦略を練り始めている。
まずは臨時国会で、大災害に対応する補正予算を成立させ、年明けからの通常国会では来年度予算の早期成立を図る。それに続き4月の統一地方選、5月1日の天皇陛下退位・新天皇即位と新元号制定という歴史的行事を乗り切って、来夏の参院選での自民勝利につなげるというのが、現在の首相の基本戦略とみられている。
与野党の協議は難航必至
ただ、首相が参院選前の国会発議を目指す憲法改正について、与野党の協議は難航必至だ。また、得意の首脳外交も日米、日ロに対北朝鮮など、壁にぶつかる可能性の高い案件ばかり。さらに、新たな3年の任期で「完結」を目指すアベノミクスについても、2019年10月の消費税率10%への引き上げによって、景気悪化が確実で、副作用の不安が拡大する日本銀行による異次元金融緩和からの「出口戦略」も容易に見つかりそうもない。永田町では「最後の3年間は落とし穴だらけで、首相が任期を無事務め上げるのは容易ではない」(首相経験者)との声が上がっている。
10月2日の党・内閣人事を受けて、同日以降の各メディアの報道には「終わりの始まり」との表現が飛び交った。総裁3選によって首相の任期はあと3年となり、「これからは政権のレームダック化が進む」(自民長老)というのが政界の常識だからだ。今後、党内でのポスト安倍レースが顕在化すれば、首相の求心力も低下し、安倍1強体制の維持も容易ではない
だからこそ首相は、総裁選での記録的圧勝を狙ったわけだが、対立候補の石破茂元幹事長が地方票で予想を超える善戦をしたことで思惑は外れた。さらに、総裁選直後の沖縄県知事選の与党完敗で出鼻をくじかれ、党・内閣人事で「党内配慮と論功優先」を強いられたことで、ご祝儀相場となるのが通例だった内閣支持率も上がらなかった。
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