アメリカが世界の「リスク」になった根本理由

トランプ大統領はアメリカをどう変えたか

トランプのアメリカを見るためには、3つの層で見ていく必要がある(写真:ロイター)
トランプ大統領の信任が問われるアメリカ中間選挙は目前。2017年9月から18年6月までの10カ月間、ハーバード大学客員教授として現地に滞在した東京大学大学院情報学環の吉見俊哉教授。その体験をまとめた著書『トランプのアメリカに住む』について聞いた。

朝から晩までトランプ一色

──ハーバード大学では実際に授業を担当されていたんですね。

はい、同大の教育を内部からこの目で確認するのが主目的でした。

実際現地で生活してみると、テレビは朝から晩までトランプ一色。次々に事件が発生し、問題発言を連発するので話題が尽きない。情報量が半端でなく、もうトランプという言葉が頭にこびりついて、アメリカ全体が強迫観念に取りつかれているような、日常感覚が集団的に狂っていく雰囲気でした。

帰国前に、歴史学者のジョン・W・ダワーさんと食事したときのこと。彼は私を見るなり、「コングラチュレーション(おめでとう)!」と声をかけてきた。「今アメリカはトランプのせいで悪い面が露出している。そんな時期にアメリカに居合わせたのは、研究者としてすごくラッキーじゃないか」と。

──一握りの富裕層と大多数の貧困層を、ますます乖離させるシステムに変容していったのは1980年代レーガン大統領の頃から、と書かれてますね。トランプ時代はその延長線上に出現した?

そうです。トランプはアメリカの分裂をほじくり返し、あおっていますが、分裂自体は1990年代から広がっていた。加えて、メディアの中心はテレビからインターネットへ移行した。一昨年の大統領選挙では、フェイクニュースの蔓延などネットメディアの持つ問題性が露呈した。

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