安倍・トランプ「親密関係」の知られざる現実

2人の関係は破局に向かっているのか?

日本の安倍晋三首相(左)とアメリカのドナルド・トランプ大統領(右)。親密だったはずの2人の関係は変化しつつある(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

日本の安倍晋三首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領の関係は、破局に向かっているのだろうか? 8月28日のワシントンポスト紙の記事は、安倍首相が予測不能なアメリカのトップと緊密な関係を築くための努力をあきらめたことを示唆した。同紙によると、北朝鮮や貿易問題などで日米関係の緊張感が増している中、安倍首相が6月に訪米した際、トランプ大統領は「私は真珠湾を忘れない」などと圧力をかけたという。

報道の真偽はともかくとして、2人の関係の現実はもう少し複雑だ。北朝鮮政策と貿易問題をめぐる緊張感はいまに始まったことではない。トランプ大統領就任以来、これらの問題は絶えず両国で話し合われてきた。トランプ大統領の日本に対する見解が依然として1980年代の貿易戦争に基づいているという事実も、今に始まったことではない。

日米関係悪化は総裁選に影響しかねない

日米関係における現在の不安感をあおっているのは、両者それぞれが内包する政治問題である。安倍首相はこの夏、「政治的な死」からかろうじて逃れたことは、トランプ大統領に対する姿勢にも反映されている。自民党総裁選が9月20日に迫り、来年の夏には参議院選挙を控える中、安倍首相と菅義偉官房長官は、日米関係あるいは、安倍・トランプ関係が危機的状況にあるというイメージを国民に与えるのは何とも避けたい。

実際、ワシントンの政策立案者の多くも、安倍首相の現在の立場を理解している。「安倍首相と菅官房長官は、特に自民党総裁選前にトランプ大統領と仲たがいしたくないと思っている」と、日本と親密な関係を持つベテラン共和党議員は話す。

確かにトランプ大統領との公的な場での不和は、安倍首相にとって政治的な大惨事を招きかねない。それも、安倍首相の対抗馬、石破茂氏に即座につけ込まれる可能性がある。「安倍首相はターンブル首相が受けたような攻撃を恐れている」と、ある政府高官は、前オーストラリア首相の名前を挙げた。同首相はトランプ大統領との電話会談中に難民の話を持ち出したことで、「最悪だ」と途中で電話を切られている。

安倍首相としては、トランプ大統領との良好な関係を維持したい。そうであれば、自身の信念とはまったく逆のことをしなければならなくなる。なぜならば、トランプ大統領は貿易問題と移民問題において強硬的姿勢を保つことが、11月6日のアメリカ中間選挙で勝つためのカギを握っていると考えているからだ。

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