安倍首相が米国に「ノー」と言えない真の理由 森友問題の火消しに外交問題を使っている
1年半の間、安倍晋三首相は、ドナルド・トランプ米大統領との親密な関係を構築することに成功してきた。安倍首相は、先の読めない大統領と、世界のリーダーの中で最も確固たる友人関係を築くことへの批判も、ものともしてこなかった。
しかし、この戦略が正念場を迎えている。貿易や北朝鮮問題といった複数の面で、トランプ大統領は日本の国益に直接負の影響を及ぼすような措置を進めているからだ。日本が支援しているイランの核問題から撤退する決定を5月半ばに行うことや、日本に米国との二国間自由貿易協定締結の交渉を強く迫る姿勢を示すなど、今後もさらに行動が「悪化」する可能性がある。
トランプ大統領とうまくやるためには
現在、安倍首相が直面している問題は、トランプ大統領に対して、1980年代に出版された有名な書籍のタイトルのように、「ノー」と言えるか、である。これは容易ではないだろう。
「トランプ氏が大統領選に勝利した直後に、ニューヨークの五番街に彼が所有するトランプタワーを初めて訪れた瞬間から、安倍首相と政権幹部はいかなる状況でもトランプ氏に対して『ノー』と言わないことが、うまくやっていくための最も重要なことだということを理解している」と日本のあるベテランのジャーナリストは話す。
また、ここ数週間のトランプ政権の人事の入れ替えが示すように、トランプ大統領は反対されることを好まない。その結果、同大統領に異論を唱える人々は排除され、「イエス」しか言わない人間が周りを囲むことになるのだ。
安倍首相にとって不運なのは、森友学園問題で政治的に最も厳しい立場に立たされているときにこの瞬間を迎えることだ。国内で自らの支持率が急激に下落し、米国から農業や自動車市場の規制撤廃を要求される貿易交渉に応じるような決定をする余裕もなくなっている。
こうした中、安倍首相は、トランプ大統領との友人関係を維持しようとさらに躍起になることが見込まれる。「(森友問題で)政治家たちが彼を追い詰めない主な理由がこれだ」と安倍首相との緊密な関係を持つ、ある米国人はこう話す。彼が言うには、「安倍首相が突然、『トランプ大統領とのつながり』という強みを失ったとみなされたら」政局は悪化の一途をたどることになる。
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